第三話「お買い物でもお仕事!」
第三話「お買い物でもお仕事!」



パタン・・・・
真一「冷蔵庫~なんにもな~い~・・・・・」
藍「ですねぇ・・・・・」
奥の壁が良く見える冷蔵庫に顔を突っ込んで二人が見る。
このときに来客者が来れば皆、その光景を疑うだろう。
真一「卵・・・・ハム・・・・・・・」
藍「わさび・・・・・ちくわ・・・・・・」
パタン・・・・
静かに冷蔵庫の扉を閉める。
真一「これだけじゃ二人を養えない・・・・・」
藍「今日のお昼で持つかどうかですね・・・・・」
2人とも冷蔵庫を背もたれにして座り込む。真一はあぐらを、藍は体操座りをしている。
真一「まあ、今日も暇だからお買い物に行こうか?」
藍「そうですね。これじゃあおいしいご飯を食べさせれません。」
真一「ルインのご飯か・・・・・・」
さすが学校で勉強しただけあってか料理の味はすごくおいしかった。
作っている物は何処にでもあるようなものなのに、味が全然違うのだ。
藍「・・・・・おいしくなかったですか?」
真一「そんなはずないだろうに~またそんな物が食べれると思うとよだれが・・・・」
藍「ふふふ・・・・うれしいです。」
真一「うむ、食糧不足は我が家庭としても手痛いダメージがある。早急に補充して体制を整えなければ!」
なぜか渋い声をだす。
藍「は、隊長!」
それに答えるように藍も緊縛したような声を出す。
真一「はははは・・・なんだこれ?」
藍「ふふふふ・・・・おかしいですねぇ~」
藍が来たおかげで家に帰っても会話が増えた。そしてどこか家にいることが楽しくなってきた気がした。やはり、家に誰かいることはうれしいことなんだな、と真一は実感していた。
真一「じゃあ、お買い物に行きますか~」
藍「はい。」
・・・・・・
・・・・・・
真一「とは言うものの・・・・・服をどうするかだな・・・・」
さすがにメイド服のまま買い物に行かせるわけがない。ひどく目立つし、なにより人間性を疑われそうだ。
藍「え?私はこのままでいいですよ?」
真一「まあ、家の中なら僕も問題ないけど・・・・・外は周りの目があるからね・・・・」
そういってクローゼットを開ける。
ガラララ・・・・・
セーラー服(実際にあるのからアニメのものまで各種)
アニメに出てくる軍の制服
チャイナドレス
ウエディングドレス
洋服(コスプレ衣装)

真一「ろくな物がないな・・・・・・」
藍「あの・・・・・なんで、女性用の洋服がこんなにも・・・・?」
一人暮らしでこんなに女性用の服があるのも珍しい。ましては真一は男である。着る必要性がない。
真一「あ~これね、僕同人活動していてその女の子友だちの洋服がここにおいてあるんだよ。僕の家からその同人会場がちかいからあんまり周りに見られずにすむからね。」
藍「同人活動って・・・あの、ビックサイトとかで絵とか売るあの?」
真一「あれ?知ってるの?」
藍「はい、私の高校の友達がイラストレータ志望でそのことを話していましたから。」
真一「そうなんだ~。まあ、そういうことだからここには女の子用の服が置いてあるんだ。」
その中から一つの服を取り出す。
真一「う・・・・普通の服ってこのぐらいしかないのかな・・・・」
外見は可愛い洋服にしか見えないが、この服も漫画の主人公の服である。
藍「それ着たいです。」
いつも控えめの藍がこのときは自分の意見を通してきた。
真一「・・・・いいの?この服・・・・・・・」
藍「かわいいじゃないですか~私、この学校にはいってからおしゃれとかしたことないんですよ。だから、このときだけはめいいっぱい変わった服を着ようかな~って思いまして・・・」
真一「まあ、よほどの漫画好きじゃないと分からない服だし・・・・いいよ。着替えておいで。」
そういって、一式を藍に渡す。
藍「では、少しお待ちください~」
脱衣所に着替えに行ってしまった
・・・・・
・・・・・
・・・・・
藍「お待たせしました~」
真一「おおっ!」
いとも友達もこの服を着るのだがそれとは違った雰囲気を受ける。
というか、藍にぴったりなイメージだった。この服を生きている漫画のキャラも天然系なので似ているところがあるのかもしれない。
藍「似合って・・・・・ますか?」
顔をうっすら赤くしながら真一に聞く。
真一「うんうん、ばっちりだよ。ここまで似合うとは思わなかったよ・・・・」
藍「そうですか~?なんか恥ずかしいです。」
真一「へへへ・・・・じゃあ、お買い物に出かけようか。」
藍「はい。」
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
買い物に行った場所は近くのショッピングモールだった。
ここならば、あらゆる食材もそろっているし、なによりお昼ご飯も食べられる。
藍「わぁ・・・・・私こういうところ初めてなんですよ~」
真一「え?学校にいるころは行っていないの?」
藍「はい、実は私の家はある企業の娘なんです。だからお買い物は全部やってくれるんですよ。」
真一「え?・・・・でも、大企業の娘が家政婦になって大丈夫?」
藍「う~ん・・・・まあ会社のほうは私とは関係ありませんし、もともと病弱だったので昔からいろんな無茶をやらせていただいていましたから・・・・・」
真一「なにも、こんなダメ人間の世話をしなくても、家にいて優雅に暮らしていればよかったのに・・・・」
藍「ははは・・・・私は優雅に暮らすよりダメ人間さんのお世話が好きなお馬鹿さんなんですよ。」
真一「ははは、違いないね~」
藍「それで、ここにはいつまでいるつもりなのですか?」
真一「ここでお昼も食べようと思っているから、しばらくは洋服とか違うのを見ていようよ。お昼を食べたら、食材とかを買っていけばいいよ。」
藍「はい、わかりました。」
真一「それで、欲しいものとかある?・・・・まあ、君の家みたいに高い物は変えないけど・・・・・」
藍「う~ん・・・・特にないですよ。」
真一「そう・・・まあ、僕の家政婦になった記念としてなんか買っていこうよ。」
いずれかは分かれてしまうのだ。何か形に残る物が欲しい。
藍「そうですねぇ・・・・」
まるで恋人の様に2人はいた。周りから見てもそう見えてもおかしくないだろう。
年齢も2しか違わないので本当に恋人になってもおかしくは無い。しかし、あくまでもこれは藍の実習なのだ。そこまで関係を発展させていいのかも疑問になる。
藍「あ、このキーホルダーかっこいい・・・・・」
藍が不意に立ち止まってディスプレイにかざっれあるキーホルダーを見ている。
真一「あ、十字架だ・・・・・好きなの?」
藍「はい、天使とか十字架とか、メルヘンな物が好きなんですよ。こういうキーホルダーほしいと思っていたのですが、こういう身分になるのでどうしても買えなくて・・・」
真一「二つで6000円か・・・・うん、これにしようか。」
藍「いえ、いいですよ。もっと安い物でもいいですよ。」
真一「いや、これならば2人で一つになるようだよ。」
そのキーホルダーは二つセットの物で、中のくりぬかれた十字架のキーホルダーと、小さいガラスの玉がある十字架のキーホルダーだった。そして、その十字架を一つにするとまた違ったキーホルダーになるという物だった。
藍「でも・・・・・・失礼ですよ。こんな物をせびったりしては・・・・・」
真一「あの~店員さん。このキーホルダーをください。」
藍の言葉を無視して真一は店員を呼ぶ。
店員「はい、これですね・・・あ、これと同じデザインのネックレスもありますよ。お値段も一緒なのでこちらのほうがお2人にはお似合いだと思いますが・・・・」
キーホルダーではつける場所が制限されていつも見えないが、ネックレスならばいつでも見せる事が出来る。
真一「あ、じゃあ、それにします。」
真一はネックレスのほうにした。
店員「このネックレスはほかのネックレスとは違って同じ形が絶対に無いんですよ。だから・・・・これと同じようなネックレスをは合わせようとしてもはいらないんですよ。それで、若い恋人さんの間で他と結ばれないようにと言う意味を込めてかプレゼントする人が多いんですよ。」
そういえばそうだ、この十字架のネックレスはいっぱいあるが、どれと言って細部が違っていて同じような物がないのだ。だから、こうやって二つで一つになるペアも一つしかないと言う事になる。
真一「はい。」
藍「・・・え、あ、ありがとうございます。」
うれしいのと申し訳ない気持ちが一緒に来てしまったので返事が曖昧になってしまった。
真一「つけてあげるから・・・・じっとしていて。」
そっと手を首の裏に回す。
藍「・・・・・・・」
真一「うん、かわいいじゃん。」
そうして真一もネックレスをつける。
真一「2人だけの思い出だね。」
藍「・・・・・・」
ドキン。
藍は初めての感情に包まれていた。心の奥がむずむずするような変な感情だ。
真一「あれ?ルイン?大丈夫?」
藍「え?あ、大丈夫ですよ。うれしくてちょっと感傷に浸ってしまいました。」
そういって、つけてもらったネックレスをギュッと握り締める。
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
真一「しまった・・・・・お昼時だから何処もいっぱいだよね・・・・」
時計を見ると丁度12時ちょっとすぎ、レストラン街に来ているのだが何処も人でいっぱいだった。
藍「いつもこんなに人が多いのですか?」
真一「うん、ここのショピングモールのレストラン街は有名な店が多く出ているからね。ここの料理を食べに来る人もいるからいつもこんな感じなんだよ。」
店の中には入り口からずっと続いている人の列もある。
真一「お腹すいたよね?」
藍「ん・・・・少し・・・・」
テレながら答える。
真一「空いているところは・・・・・」
何処も人がごった返していて、まともに歩けるスペースさえない。
藍「あそこ空いてますよ。」
真一「ん?」
藍の先には橙色の牛丼屋があった。
ここなら回転も速く、すぐに食べれるだろうが・・・・・
真一「え~ここ牛丼屋だよ?もっといいものを食べようよ、せっかくここに来たんだから。」
まあ、まずくは無いけど藍とせっかく来たんだからもうちょっといいものを食べさせてあげたい。
藍「え~私はあのような店のほうが魅かれますよ~」
真一「あっちよりも?」
そういって、おしゃれで綺麗なパスタ屋を指差す。
藍「はい、私一度でもいいからあそこの牛丼を食べたかったんですよ。」
そういって強引に真一を店内に引き込む。
真一「う~ん・・・・・納得いかないけど・・・・・」
普通、デートとかで牛丼屋とか行くと女の子としては普通は怒るだろう、せめてハンバーガーショップが妥当ではないのか?しかし、藍は自分から進んでこの店に入ってしまった。
真一(本当にここでいいの?)
藍(はい、こういう席ならご主人様にいつも触れられますから・・・・)
真一(え?・・・)
こういうところはコの字状のカウンターしかなく、そして狭いのが特徴だ。だから、隣の人と肩が触れ合う事は良くある事だ。
藍「すいません~え~と・・・並みにねぎだく、つゆだくに玉、お味噌汁もお願いします~」
ハイッといった感じに手を上げて注文をする。
真一「え、あ、特盛り、ねぎだく、玉、お味噌汁で。」
藍「ふぅ~」
こつん・・・・・
藍が肩を寄せてくる。わざと寄りかかっているようだ。
真一「ここに来たことあるの?」
藍「いえ、だから今言えてすごくうれしいんですよ~」
なんと儚い幸せだろう・・・・・
注文一つで喜んでいる。
藍の髪の毛が真一の首を触る。肩には藍の顔がるのだ。何だか真一は恋人を連れてきたような誇らしい気持ちになっていた。
店員「あい、おまち。ねぎだく、つゆだくに玉、お味噌汁と特盛り、ねぎだく、玉、お味噌汁になります。」
見慣れた牛丼とお味噌汁が出てくる。二人はお腹がとても空いていたので素早く端を割って食べ始める。
藍「うん、おいしいですね。」
真一「この味は何処行っても変わらないなぁ・・・」
藍(たまにはこういったお行儀の悪いことをしても良いですよね?)
真一(ははは・・・・たまにはいいよね~)
いままでフォークとナイフ一つとっても礼儀の世界にいた藍にとってはこういう世界は新鮮に見えるのだ。まるで少しだけ悪いことをした子供のような気持ちだ。
真一(でも、それが習慣になっちゃだめだよ?)
藍(はい、わかってます。)
笑顔で答えた。
藍「ご馳走様でした~」
真一「え!はやいっ・・・」
藍「はい、駆け込んで食べてしまいましたよ~」
コツン・・・・
また藍が肩に頭を乗せてきた。ちりんと首にかかっているネックレスが小さくなるのが聞こえた。
藍「恋人さん同士ってこんな感じなのかなぁ・・・・何をやってもたのしいのかな?」
真一「そりゃ、そうだよ。僕もそうだけど早く相手を見つかるといいね。」
藍「そうですねぇ~」
もっとも、真一はこのまま藍と・・・・と少なからず思っていたこともあった。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
真一「なんか、買いすぎちゃったね・・・・」
藍「2人ともお料理が好きですからね・・・・あれもこれも買っちゃいましたね。」
2人ともパンパンに膨れた袋を両手に抱えている。
真一「鍵は・・・・あった。」
ブルルルルン!
車のエンジンがかかる。
東京に同人活動するときに車を買ったのだがあまり使っていない。
少しの用事ならば歩いて済んでしまうのだ。
藍「私が運転しましょうか?」
真一「あ、いいよ。運転も好きだしね。」
車の中でたわいもない話で盛り上がった。
2人のネックレスがゆれる度にちりんと音を立てていた。