「天使の一時(ひととき)」

第6話:「天使の一時(ひととき)」


ピピピピピピピ・・・・・
ソフィ「んん・・・・」
朝の6時・・・私たちの起きる時間です。
ソフィ「・・・・・・・・・・・・」
私・・・低血圧なので朝はすごく弱いのです。だから、5分ぐらいは何も考えることができないのです。
ピピピピピ・・・・
目覚まし時計のスヌーズ機能が働いてもう一回目覚ましがなります。
ソフィ「起きないと・・・・・・・」
カチン
私は目覚ましを止めてふらふらとトイレに行きます。今の季節は冬なのでトイレに行く道がすごく嫌に感じます。
エミカ「あっ・・・おはよ〜」
廊下でエミカさんとすれ違いました。エミカさんはいつも元気で、私たちに元気をくれる人です。
ソフィ「あはよ〜ざ〜す・・・・」
エミカ「ははは、まだ寝てるな〜。今日もガンバロー」
エミカさんはこぶしを上に上げて背を伸ばします。
トイレが終わると今度はお姉ちゃんを起こさないといけません。お姉ちゃんは朝が弱いのではなくてただのねぼすけさんなだけですけど。
ソフィ「ほら〜お姉ちゃん!おきて〜」
クリス「うう・・・・もうちょっと寝かせて・・・・」
どうやら半分は起きているのですが、もう半分は夢の中にいるようです。
ソフィ「おきなさい!」
バツ!
布団を取り上げ、強制的に起こします。こうでもしないとお姉ちゃんを起こすことはできません。
クリス「う〜寒いよ〜」
ソフィ「体を動かせば平気だよ〜」
クリス「眠いよ〜」
ソフィ「顔洗ってきてくださいな。」
クリス「ひもじいよぉ。」
ソフィ「・・・・・・ば、バイトしてください。」
お姉ちゃんは私と違って朝には強いほうです。だから起きればすぐに頭も働きます。
クリス「さて・・・朝の聖書はじめますか〜」
ソフィ「うん。」
そういって私たちは家とつながっている教会に行きます。
教会といっても「聖・ソフィア大聖堂」や「サンタ・マリア。マジョーレ聖堂」のような大きいものではありません。屋根には小さな十字架があり、教会の中には10列ほどのイ長いすが左右に並んでいて、奥には大きな十字架と大きなステンドグラスがあるだけです。
 そしてここを使う機会もあまり無く、クリスマスの日やお正月以外は特に使いません。
朝の聖書というのは、朝早く起きたらすぐに聖書を唱えるのです。こうすることによって神の恩恵を受け霊力を上げることができるとされています。しかし、キリスト教の修道僧が皆これをやっているわけではなくて。これをやっているのは私たちみたいな除霊を行うものだけなのです。
クリス「我は、神に誓いし神の使いである・・・・・・」
ソフィ「神に対し絶対なる忠誠を誓うこと・・・・・・」
今となっては聖書の文章の内容をわかるようになりましたが、私たちがこれを始めた6歳のときは意味がさっぱり分かりませんでした。
だって、難しい言葉ばかり出てくるのですから。
この聖書の言葉を要約すると、
「私は神に誓った神の使いであり、神から力を授かる代わりに神に反する者を倒す事を約束します。そのためには禁欲、質素の生活を厳守とし、いかなる誘惑にも負けない精神を作ると誓います・・・・」
といった感じでしょうか?
慣れた人でもこの聖書を読むのに30分ぐらいかかります。辞書よりは薄いですが読むにはちょっと量の多い書物です。修道僧やシスターの声がきれいなのはこれを呼んでのどを鍛えているのかもしれませんね。
クリス「・・・我はこの身が果てようと、他者の心を理解し愛をもって勤めなければなりません。」
ソフィ「・・・我はこの身が果てようと、他者の心を理解し愛をもって勤めなければなりません。」
バタン―
静かに聖書を閉じます。
さすがにいつも言っているだけあって、終わりもそろっています。
クリス「終わった〜」
ソフィ「うん。とりあえず部屋に戻りましょう。」
教会の中は防音効果もしてあってとても静かです。気が急いでいるときや落ち着かないときにここへやって来たりしています。
クリス「今日も学校かぁ・・・・」
ソフィ「そんないやな顔をしないでください。友だちは皆さん受験の事でそれどころではないのですから。」
クリス「まあ、就職先が決まっているのはうれしいけど、時期が時期だから・・・」
学校のほうも、ちらほら推薦入学とかで学校や就職先が決まった人がいるようですが、まだほとんどの人は受験生です。あからさまに遊んだりすのは、相手にとって迷惑なことのです。
エミカ「ご飯できたよ〜早く食べにおいで〜」
話し込んでいるうちにエミカさんが教会にやってきました。どうやら長い間話し込んでいたようです。
クリス「はい、今すぐ行きます〜」
ソフィ「わかりました〜」
私たちは居間に向かいます。
私の住む家は普通の日本にある家と変わりありません。キリスト教信仰者だから洋風の生活をしていると間違われがちですが、そんな事ありません。床はフローリングでスリッパや靴下で歩きますし、居間もテーブルと椅子ではなく机に正座をして食べます。
クリス「エミカさん〜ジャムって無いですか?」
お姉ちゃんが空になった容器をエミカさんに渡します。
エミカ「う〜ん・・・・苺味ならあると思うよ?それでいい?」
クリス「うん、ありがと〜」
ソフィ「そういえば、このパン甘いですね。」
朝はいつもパンにサラダ、目玉焼きにカルシウムを取るためにコーヒー牛乳です。
でも、今日のパンはほんの少し甘いでした。甘いといっても砂糖や果物の甘さとはちょっと違います。
エミカ「あ、わかった?これね私の自信作だよ〜。イースト菌が違うから甘く感じるんだよ〜。」
クリス「え〜このパンを作ったのですか〜」
お姉ちゃんはジャムを先に塗ってしまったためいつもとは違う甘さを感じなかったようです。
ソフィ「学校終わったらパンの作り方教えてくれませんか?」
私の趣味はこういったお料理をする事です。たまにエミカさんと一緒にお菓子とかを作るのですが、エミカさんはどこで覚えたのか、いろいろな料理を作ってくれます。本人が言うには、「京子さんにはかなわない」といっていますが、私にはどちらもすごいのでかないません。
ソマリア「あら、もうご飯食べていたのですか〜」
廊下からソマリア様がやってきました。ソマリア様はここに来てから住み込みをしてもらっています。神様なので特別な部屋に泊まってもらうように言ったのですが、「私はここがいい」といって空き部屋に寝てもらっています。なんでも「神様だけがいい優遇を受けているのはおかしい」といった事のようです。
ソマリア「エミカ、私の分もありますか?」
エミカ「もちろん〜」
そういってキッチンから私たちと同じ物を出してソマリア様に渡します。
ソマリア「ありがとうございます。」
クリス「でも、こうやって神様とご飯を一緒にできるなんて夢みたいです。」
仏教と違って神様は限られた人数しかしません。だから、こうやって除礼者が会うことはまずありません。だからこうやってご飯を一緒にできること事態がありえないのです。
ソマリア「私たちは地上に降りる事は少ないですからね。私もこうやって皆さんとご飯を共にするとは思いませんでした。」
エミカ「子供が生まれるとき意外は100年に一回ぐらいしか地上に出ませんよね。」
ソフィ「それで、天界ではどんな事をやっているのですか?」
神に仕えるものなのに、神様のしていることはいまだに分かりません。先代もその先の祖先もこうやって神様とお話をする機械がなかった事が関係しているのではないでしょうか?
ソマリア「神様は常に天界から地上を見ています。そして除礼者に力を与えたり、悪霊を見つけるとそれを教えたりとかしています。でも、普段の生活は地上の生活とあまり変わりませんね。」
クリス「そうなんですか?」
ソマリア「はい、神様はローマの近くになる天界の宮殿でいつもは生活してます。畑を耕したりして・・・・人数が少ないので社会を作るまではできませんが、自足自給の生活をしてますよ。」
ソフィ「神様って自足自給の生活なんですね〜」
ソマリア「私たちは食べなくても生きていけるので、作物ができなくても困る事は無いですけどね。」
ソフィ「もう一つ質問していいですか?」
ソマリア「はい、私が答えれる質問ならば」
ソフィ「仏教とキリスト教では神様の能力って違うのですか?」
ソマリア「基本的に違うところはありません。違う点は霊界の社会です。」
ソフィ「霊界の社会?」
ソマリア「はい、我らキリスト教を信仰するものは皆神の子供とされています。そのため、キリスト教信者が死ぬとほとんどは天使族になります。天使族は地上の世界でたとえるならば平民または国民になります。そして、私たちのような500〜1000年以上天使として生きていたものは守護神(ガーディアン)になることを許されてもらえるのです。そして、これからもう1000年たつと神になれるのです。しかし、その神になるにも生前に大きな功績を残したものや、良い行いをやったもの以外は神にはなれません。」
ソフィ「かなり基準が高いですね・・・・天使だって500〜1000年も生きられるかどうか・・・」
ソマリア「そうなのです。そしてキリスト教で神様はこの世界で言う政治家といったところで、私たち守護神は警察などの治安を守る者、そして霊、天使と呼ばれているものが国民といったような社会ができています。」
ソマリア「それに対し。仏教はそういった上下関係のシステムが緩やかなのです。神様になる条件も1000年位その地にとどまればなれます。簡単に言えばその土地の神様になれるということです。また、仏教の場合は人間の霊以外にも動物の霊も神様になることができるのが特徴です。そして、私たちで言う天使はみな霊とされています。」
クリス「ソマリア様みたいなガーディアンっていないのですか?」
ソマリア「もちろんいますよ。そのかわり、神様が指名してガーディアンになるのですよ。丁度エミカが私と契約したように、神様と契約した霊が守護霊になるのです。」
エミカ「だから、私と京子さんは京子さんのほうが位は上になるのですよ。」
ソフィ「結構複雑ですね〜」
ソマリア「まあ、元々の考え方が違うので難しいですね。」
エミカ「ねえ、お2人とも、もうそろそろ用意しないと学校に遅れますよ〜」
時間を見るともう8時10分になっていました。
クリス「やばっ!ソフィ!早く行くよ!」
ソフィ「は、はい!」
急いで服を着替えてかばんを持って自転車に乗り込んで学校へ向かいます。
エミカ「いってらっしゃい〜」
ソマリア「がんばってください。」
クリス「いってきます〜」
ソフィ「いってきます〜」
冷たい風が太ももを触ります。制服は比較的短いスカートなので外気とよく触れます。
夏は結構快適なのですが冬は寒いです。お姉ちゃんはひそかにスパッツをはいて太ももの半分を暖めています。本当ならジャージを着ていたいところですが、それは校則違反なのでできません。
ソフィ「おはよ〜」
クリス「ハァ・・・・ハァ・・・・」
学校にはぎりぎり8時37分に着いたので遅刻にはなりませんでした。
生徒「めずらしいね、二人がこんなに遅くなるなんて〜」
クリス「ああ、今日から親戚が来ているからね〜」
公然の前で神様が来ている事なんていえません。というかいっても信じてもらえないと思います。
キーンコーンカーンコーン
朝のチャイムがなり、STが始まりました。
室長「キリッ」
ガタガタ・・・
皆ゆっくりとたち上がります。
室長「おは〜ございます」
室長が発音の悪い挨拶をします。なんかいつもこの室長この時間帯も眠そうです。しかも挨拶する寸前まで音楽を聞いて寝ています。
先生「え〜今日の休みは・・・・・なしか。」
先生があたりを見渡して出席簿になにやら書き入れます。
先生「もうすぐ・・て、いってもちょっと先の話だが、テストが近づいてきているから勉強のほうしっかりやっておく事〜」
いつもの朝、いつもの学校です。

一時間目:現代国語
どこの学校もどんな国語の授業はつまらない物です。しかも、今は詩をやっているのでなおさらです。
クリス「ス・・・・ス・・・・」
あらら、お姉ちゃんはもう夢の中に入ってしまったようです。あっよだれが垂れてる・・・・
でも、眠くなるのも分かる気がします。私たちの席は窓側の一番後ろの席です。今日は小春日和のような暖かい太陽がのぞいていて暖かいのです。だから、11月なのに学校ではストーブを使っていません。
ソフィ「ふわぁぁぁ・・・・」
私もこんな事を考えていたら眠くなってきてしまいました・・・・
ああん、授業に集中するのよ!
先生「【あめゆじゅとてちてけんじゃ】というのは作者・・・宮沢賢治にあめゆじゅを・・これは雨雪でしょうか〜・・・・」
この現国の先生は女の先生なのに男のような喋り方をします。まあ、年が結構年配なので生徒に教えるときのコツなのでしょうか?皆この喋り方が嫌いといっていますが、私はこう言ったハキハキした先生は好きなほうです。
キーンコーンカーンコーン・・・
そうしているうちに50分たってしまって鐘が鳴りました。
先生「え〜もうこんな時間か、この続きは次にやります。寝てた人、ちゃんとノートとるんだぞ〜」
室長が挨拶をして先生は職員室に戻っていきました。
クリス「うぁ・・・・授業おわったの?」
お姉ちゃんがやっと起きました。
ソフィ「うん、よく寝てたね〜」
クリス「だって・・・・あの先生の言っている事は子守唄だよぉ・・・」
目をこすって頭を起こします。
あたりを見渡すといろんな人がいます。友達同士で話に花を咲かせている人、お菓子を食べている人、早弁(お昼の放課前にお弁当を食べる事)をしている人などいろいろいます。
クリス「ねえ、シッチョウまた絵を描いているよ。」
ソフィ「噂だとイラストレーターを目指しているようですよ。」
今ではあんまり目立たなくなりましたが、私たちの室長(シッチョウ)は毎日絵を描いています。決して落書きではありません。よく漫画に出るようなかわいい女の子が多いようです。
クリス「ねえ、何で絵を描いているの?」
あっ・・・お姉ちゃんが特攻インタビューし始めました。行動早いです。
室長「え?将来イラストレーターになりたいから・・・・・」
突然の事なので室長も驚いています。
クリス「なんで、女の子しか書かないの?」
室長「いやぁ・・・ここ半年描いてるけど女の子だけはどうしてもうまく描けなくて・・・・」
え・・・十分上手と思うのだけどなぁ・・・
クリス「ふ〜ん・・・じゃあ、エッチな絵も描くの?」
お姉ちゃんストレートすぎ・・・
室長「ほぇ!いやいやいや・・・描かないよ〜まだそこまで人間出来ていないから〜」
また、突然の事を聞くので驚いてます。
でも、そのあたりは興味あったかも・・・・
いけない、いけない・・・・清き正しいものが言う言葉ではありませんっ!
ソフィ「こら!お姉ちゃんあんまりからかうのは良くないよ!」
室長「なに?私からかわれていたのか!」
・・・・この室長も天然だ・・・・・
というか、男の子なのに「私」って言う人初めて見た気がします。
クリス「だって、なんか室長だけ違うオーラで出てるもん。」
室長「違うオーラ・・・・」
クリス「そう、なんか雰囲気がね〜」
室長「そりゃ〜僕だって、人とは違うと思っているけど・・少し変だと思っているけど・・・・存在から違うのか・・・・・・」
なんか、室長一人で悩み始めてしまいました。
ソフィ「でも、将来の夢を持っている人ですから、悪くは無いと思いますよ。」
噂によるとこの室長かなりのドリマー(理想主義者)だそうです。
キリスト教という性格もあってか私たちもそういった夢は好きです。
室長「でもね〜夢が【イラストレーター】ってかなり、つらいですよ〜」
素人の私でもつらい職業なのが分かります。売れればいいですが売れなかったら・・・
クリス「じゃあ、イラストレーターになって絵を売るようになったら頂戴。」
室長「せめて、買ってよ〜」
ソフィ「はははは・・・・・」
悠「いよぉ、な〜に話ているんだい?」
ここで、室長の友だちの悠さんが来ました。この人も室長と同じような職業に尽きたいと思っている人で、なんでも「声優」か「劇団に入る事」が夢のようです。
ソフィ「ちょっとお話してただけですよ〜」
悠「ほう、2人にはそんな仲だったとは・・・しらんかった。」
悠さん何か誤解してます。でもそれも面白かったので、
ソフィ「え〜お姉ちゃん、そうだったのですかぁ〜私も知らなかったですよ〜」
クリス&室長「ばっ・・・馬鹿言わないでよ!」
二人そろった声が教室に響きます。
しかも、かなり大きい声だったのと、急に出したので皆の視線を集めています。
悠「お〜お〜そろってる〜邪魔者は消えますわ!」
いたずらっぽく悠さんがいいます。
ソフィ「うん、私も戻りますね。」
クリス「そんなんじゃ・・・・」
キーンコーンカーンコーン
お姉ちゃんが反抗しようとしたとき、タイミングよく鐘が鳴りました。
ソフィ「あ〜いそがしいそがしい。」
といって私はさっさと自分の席に戻ってしまいました。今までまったく気が無かったとはいえ、急に二人の仲を怪しまれたのでお姉ちゃんと室長はお互い見あって黙り込んでしまいました。
ソフィ「2人とも初心(うぶ)なんだから〜」
ぼそっとこぼしてしまいました。

2時間目:日本史/世界史
次の時間は日本史を選択した人と世界史を選択した人と別れて授業を受けます。
私たち2人は世界史なのでこの教室で受けます。しかも、あの室長と悠さんも一緒です。
室長「きりっ」
室長「れぇ!」
室長のほうはいつもと変わらない様子です。あの時はあんなに動揺していたのに・・・・
大人なのかな?
しばらくして、また絵を描き始めました。授業中に描くなんてよっぽど好きなんでしょうね。
一方お姉ちゃんは、
クリス「私が室長と・・・・・・・・・ううん・・・いやいや・・・・」
本気にしてるようです。ぶつぶつ独り言を言っていますが隣の席なのでよく聞こえます。
子供ですねぇ〜
でも、彼氏ですかぁ・・・私だって女の子です興味はありますよ。ただ、シスターのため禁欲の生活をしているために普通の人よりもそういったことが出しにくくなっているのは確かです。
・・・・・いけない、いけない。ノートをとらないと・・・・
この世界史の先生はいつの黒板にいっぱい書くから写すだけで時間がなくなるのですよ。
そういえば室長はどこでノートを取っているのだろう・・・あの様子だと今も絵を描いていると思いますし・・・・でもノート提出はきちんとしているみたいですし・・・
クリス「むむむむ・・・・・・・」
ふと横を見ると、お姉ちゃんがなにか念じています。というか、霊気が出ています。
ソフィ「お姉ちゃん・・・何してるの?」
ちょっと心配になったので声をかけてみます。
クリス「ねえ、ソフィ。私たちってそんな風に見える?」
まだ悩んでいたようです。お姉ちゃんって結構一途なタイプなのいでしょうか?
ソフィ「ん〜どうなんでしょうか?悩みすぎのような気がしますよ・・」
多分好きではないでしょう。でも、その割には私や悠さんの言葉を真に受けすぎですし・・・
もしかすると・・・・・・まさか!?
クリス「うん、私もそう思う・・・・でも、な〜んか言葉にひっかかちゃって・・・・」
気がつくと室長さんがこちらを見ています。見てるというか眺めているようなそんな感じです。
ソフィ「・・・・・・・」
クリス「あっ!」
おもわず、お姉ちゃんが声を出してしまいます。そして室長は気を取り戻したのか、また正面を向いてしまいました。
ソフィ「ん〜・・・・何かがおかしいですね・・・」
・・・・・
恋人。
彼氏。
それとは違うような・・・・
でもお姉ちゃんが気にしているのは確かのようです。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
キーンコーンカーンコーン・・・・・
やっと2時間目が終わりました。
いろんなことを考えていたのでいつもよりちょっと長く感じました。
クリス「・・・・・・・・」
スタスタスタ
お姉ちゃんが無言で室長の横に着きます。
悠「なあ、お前の姉貴は本当に冬(しゅん)さんのことが・・・・?」
皆さん、私もですが彼のことを室長といっていますが、もちろん本名じゃありません。本名は「永月 冬(エイゲツ シュン)」といいます。ちなみに、悠さんは「奈々夜 悠(ナナヤ ユウ)」といいます。皆さん「奈々夜」といいづらいので下の名前で呼んでいます。
ソフィ「わかんない。でも、なんか違うよね?」
雰囲気の違う2人を見て悠さんが私に声をかけます。
音葉「ねえねえ、あの2人どうしたの?」
琴璃「大声出してからあんなようですが・・・・」
日本史を選択していた同業者の音葉さんと琴璃さんがこちらにやってきました。お二人とは幼稚園、小学校は別でしたが中学校、高校と一緒に暮らしている幼馴染です。だから家族の様に私たちのことは分かります。
ソフィ「わかんない・・・」
冬「あの・・・・皆どうしたのですか・・・・・?」
いつの間には私たちは室長の前に集まっていました。相変わらずお姉ちゃんは黙っています。
冬「それで・・・なにかあったのですか?」
う・・・冬さんが分かってないとややこしい事になるのですが・・・・さすが自他認める天然記念物です。
音葉「冬とクリスはどんな関係なのかなって・・・・」
おおぅ、なんてストレートな質問を・・・・
クリス「・・・・・・・(ジーーー)」
冬「ん?え?・・・・・あっ・・・・」
今やっとお姉ちゃんに見つめられているのに気づいて、冬さんも見つめ返します。
クリス「・・・・・・・」
冬「・・・・・・・」
琴璃「これって・・・まさか・・・・」
さすが、琴璃さん!今の状況を理解したようです。
音葉「・・・・・ソフィア、まあ大変だと思うけど、がんばるんだよ。」
いやぁ、皆さんにもこの感情分けますよぉ・・・
クリス「あっ・・・・・」
冬「ん?・・・・・・」
クリス「その・・・・・」
冬「え?・・・・・・」
悠「・・・・なんか見ているほうがくすぐったいな・・・・」
同感です。2人とも見る事に夢中になっていて話が続いていません。いまだに冬さんは分かっていないようですが・・・・
音葉「ジー」
琴璃「え?どうしたの?お姉ちゃん?」
音葉さんが琴璃さんを見つめ始めます。
音葉「いや、見つめるとどんな感情になるのかなぁって」
ソフィ「何か分かりましたか?」
音葉「ははは・・・・全然。」
キーンコーンカーンコーン・・・・・
チャイムが鳴って放課時間が終わります。
次は数学です。


今の数学は教科書のやるところは終わってしまったので先生からのプリントを解く事になっています。
しかも、このプリントの問題は高校1〜2年生に習ったものばかりなので私にとっては簡単なものです。
クリス「うわ〜〜〜〜二次関数とか嫌いだぁ!」
お姉ちゃんは関数自体が嫌いだよね。
さじを投げているお姉ちゃんをよそにすでにプリントの問題を解いてしまったのでやる事がありません。
ふと冬さんをみると・・・やっぱり絵を描いてました。しかも、問題もすでに終わっているようです。
先生「そこはこうじゃにゃ〜だろぉ〜こうやってこうやんだがや〜」
この数学の先生は私たちの担任の先生でもあるのですが、すごく名古屋なまりの喋り方をします。
先生「ほんで、こ〜やってこうやるんだがや〜」
私たちも名古屋よりの地域に住んでいるのでたまにですが名古屋弁を喋ったりしますが、今の時代あんなに名古屋なまりの人も珍しいです。
私たちが喋る名古屋弁といえば「ドベ」とか「うち」とかですかね?
クリス「いかん〜全然わからへん〜。なあ、ソフィ、ここ教えてくれんへんか?」
なんで、お姉ちゃんは大阪弁なの?
ソフィ「いいどすえ〜このかわり、何かおごってくれはりますか〜?」
クリス「・・・・・・・」
ソフィ「なんですかっ?」
クリス「いや、なんでもないよ。」
そんな反応すると恥ずかしくなるじゃないですか!
ソフィ「それはそれとして・・・・お姉ちゃん、冬さんと何かあったの?」
クリス「ん・・・・・なんだろうなぁ・・・なんかひっかがってるんだよね。冬のことが・・・」
ソフィ「胸が苦しいとかですか?」
クリス「なんか違うような・・・そんなような・・・・」
お姉ちゃんはあいまいな返事しか出しません。いつもならはっきり言うはずなのに・・・
よく考えたら、移動教室全部が冬さんと一緒です。次の選択授業もおなじ美術ですし・・・また英語の時間も移動教室なのですが、それも一緒の部屋なんですよね。
そんなことがお姉ちゃんの頭を巡っているのでしょうか?
クリス「なんだろうなぁ〜ううん〜」
まあ、私がとやかく言っても仕方が無いので自分でけりがつくまで黙っていましょう。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
キーンコーンカーンコーン・・・・・
あっという間に3時間目が終わってしまいました。
やはり、1,2年生のときとは違って時が流れるのが早く感じます。
音葉「さて、こんども未来のダーリンのチェックですか?」
琴璃「お姉ちゃん!」
早速お2人がやって来てお姉ちゃんにチャチャをいれにきました。なんだか2人ともうらやましそうです。
クリス「そんなんじゃないよぉ〜」
お姉ちゃんは顔を赤くして反抗しますが、なんかさっきより迫力がありません。
クリス「・・・・・・・・・・」
音葉「あれ?」
琴璃「???」
いつもと違うお姉ちゃんに少し戸惑っているようです。
音葉「ねえ、悪い事言っちゃったかな?」
ソフィ「多分大丈夫だよ、なんか冬さんのことがひっかがっているようです。」
琴璃「ふうん、ちょっとそっとしておきましょうか。いろいろ考えないといけませんし・・・・」
音葉「そうだね・・・・」
音葉「じゃあ。クリス。私たち先にうえ行ってるね〜」
クリス「うん、わかった〜」
お姉ちゃんだけ置いて私たちは4階にある美術室に向かいます。ちょっと遠いので早めに行かないと遅刻してしまいます。
音葉「しかし、しっちょうさんだったとはね〜」
琴璃「うん、まあ嫌いじゃないけど・・・あんまり話したこと無いから・・・・」
それもそうです、あまり話したことが無いのでどういう人なのか分からないですから。
ソフィ「どう考えてもクッルスでは無いよね〜」
言っては悪いけど、冬さんはかっこいいほうには入りません。まあ、不細工でもないですけど・・・
音葉「ソフィちゃん、思い当たるふしとか無いの?」
ソフィ「あったら私だって困ってませんよ〜。」
だよね〜っといった感じが三人を覆います。
でも・・・・・なんでだろう・・・・何がお姉ちゃんを変えたのだろう・・・・
でも、これっていい事なんだよね?私は応援するよ〜
・・・・・
・・・・・
・・・・・
昼放課―
選択の授業も終わってご飯の時間になりました。
この学校では教室ならどこでも食べていいので皆さんいろんなところへ行ってしまい教室には人が少なくなってしまいます。
私たちは、お姉ちゃん、音葉さん琴璃さんと一緒にこの教室で食べます。
ソフィ「あ〜その玉子焼きおいしそう・・・・・」
音葉「京子さんの自信作だって〜多分おいしいのだろうね〜」
琴璃「でも、エミカさんのお料理もとてもおいしいですよね〜」
音葉「幽霊になるとお料理が上手になるのかな?」
琴璃「ははは、そうかもしれませんね〜」
ソフィ「だったら、幽霊になろうかなぁ〜」
音葉「え〜ソフィさんが幽霊になったら私が除礼しちゃうからね〜」
ソフィ「え〜それは困るなぁ〜」
琴璃「ふふふふ・・・・・・」
女の子が集まると会話が弾みます。私たちはファッションとかアクセサリにはあまり興味が無いので話の中心はお料理とかテレビについてが多いですね。
クリス「・・・・・」
音葉「クリスさん〜・・・・・やっぱり旦那さんと食べるかい?」
クリス「なっ!ちょっとやめてよ!・・・・・え?旦那さん?・・・・お父さん・・・」
琴璃「あらら、なんかクリスさんの中では家庭が作られているようですね・・・・」
ソフィ「お〜い。もどってくださ〜い。」
クリス「ああ!思い出した!」
音葉「え?」
琴璃「ふぇ?」
ソフィ「へぇ?」
いきなり叫ぶから・・・・皆びっくりしちゃいました。
ツカツカツカ・・・・・・
クリス「ちょっと来て・・・」
冬「え?え?何?」
冬さんも他の男の子たちとお弁当を食べていました。急にそこにお姉ちゃんが入ってきて冬さんをもって行きます。
男子生徒「お〜なんだなんだ?もてもてじゃないですか〜」
男子生徒「あれぇ〜なに、お口あ〜んですか?」
冬さん・・・かなり冷やかされています。・・・・お姉ちゃんもうちょっと考えて行動しようよ・・
冬「え?何々?何か悪い事した?」
冬さんも何がなんだか分からず、目を丸くしています。
クリス「ちょっとここに座って〜」
冬「あ、はい・・・・・」
冬さん箸を持ったままです。
男子生徒「おいおいおい〜やっぱりお口あ〜んですか〜?」
冷やかしも一層大きくなります。
クリス「室長って永月 冬だよね?」
冬「あ、はぁ・・・・・」
クリス「ほら、私、神谷 クリストファーだよ!」
冬「え・・・それは知ってますが・・・・・・」
私たちもお姉ちゃんの意図が分かりません。いきなり自己紹介しても・・・・しかももう11月です大体の生徒の名前は覚えているはずです。
クリス「え〜と・・・・ほら!お医者さんごっことかやったでしょ!」
冬「え?・・・・・・・」
音葉&琴璃&ソフィ「お、お医者さんごっこ!?」
思わず一緒に叫んでしまいました。
男子生徒「お前ら・・・・夜中にそんなことしていたのか・・・・・」
いや、それはまずありえません。
クリス「ちが〜う!!え〜と、そう、保育園。たしか・・・・こ・・・そう、小鳩保育園でしょ!」
冬「え?何でそれを・・・・?」
小鳩保育園というのは私たちが入園していた保育園です。
クリス「ほら!いつも一緒に遊んだじゃない〜」
冬「え?え〜と・・・神谷・・・・・・かみや・・・・・・・」
保育園の事は私もあまり覚えていません。でも、お姉ちゃんともう一人誰かと遊んだ記憶があります。
冬「神谷 クリストファー・・・クリ・・・・」
冬さんも何かひっかがっているようです。
冬「・・・・・・・・・・あっ。」
クリス「ふ〜ちゃん!」
冬「クリちゃんかぁ!!」
クリス「そうそうそう、やっぱりふ〜ちゃんだ〜!」
なにか2人で盛り上がっているようです。しかもあだ名で言い合っている・・・・一体どんな関係なんですか?
ソフィ「お姉ちゃん・・・・ふ〜ちゃんて何ですか?」
クリス「ほら、小鳩保育園でいつも遊んでいた男の子いたじゃない!それがこの冬だよ〜」
冬「たしか、ソフィリーナさんはソヒーちゃんって呼んでたよね〜」
ソフィ「あ、あ〜あのときの男の子ですか〜」
今までもやのかかっていた、記憶の画像が一瞬にしてもやが無くなり鮮明によみがえってきます。大まかな特徴はちっとも変わっていません。本当に昔の姿を大人っぽくしたような感じです。
クリス「ふ〜ちゃんに会うのは何年ぶりかな〜」
冬「保育園以来だから・・・6の3の今が2だから、11年ぶりだね〜」
ソフィ「そうですか・・・そんなに経っていたら覚えているものもあまりないですねぇ。」
冬「まあね〜、確かあのときはままごととかお医者さんごっこやっていたね〜」
クリス「うんうん、懐かしいなぁ・・・・」
ソフィ「三人いつも一緒でしたよね〜。」
音葉「そっか、気になっていたことはこのことだったのね〜」
琴璃「ふとしたきっかけで思い出しかけていたのですね〜」
クリス「うん、今日の朝にふ〜ちゃん・・・・冬の顔を見てて何か懐かしいものを感じたから・・・・」
冬「全然分からなかったよ〜。というか2人とも変わったね〜。なんていうか・・・・女の子になったなぁって感じだね〜」
クリス「やだ〜そんなことないよ〜」
ソフィ「その代わり、冬さんは変わりませんね〜」
冬「そうなんだよ〜アルバムの写真見ても自分だけ変わってないんだよ〜」
ソフィ「たしか、冬さんが引っ越すときにお姉ちゃん大泣きしていましたよね〜」
クリス&冬「あっ。」
私の言葉を聴いたとたん、二人が黙ってしまいました。
クリス「ねえ、冬・・・・・覚えてる・・・・?」
冬「うん・・・・・覚えてる・・・・・」
なんだかまた2人とも顔が赤いです。幼稚園のとき何かあったかなぁ・・・・
冬(おまえが僕のお嫁さんになるってことだよね・・・・・)
クリス(うん・・・・・・・・)
え?何で2人耳打ちして話すの?全然聞こえないよぉ
音葉「あれ、なんかまたひっかがってるの?」
クリス「ちょっと違うかな・・・・・・」
琴璃「相談に乗りましょうか?」
冬「いや・・・・いい。」
ソフィ「引越し・・・・大泣き・・・・冬さん・・・・・・・・あっ!」
ソフィ「たしかあのとき、お姉ちゃんは冬さんにpu・・ムグッ!」
冬さんとお姉ちゃんが私の口を急いでふさぎます。
クリス「いい、言わなくていい!」
冬「ははは・・・・笑うしかないね・・・・・」
音葉「ぷ?」
琴璃「大泣き・・・・冬さんとクリスさん・・・プ・・・・・・おおう!」
ぽんと手を叩きます。
さすが琴璃さん!勘が鋭いです。
音葉「え?なになに?」
琴璃「えとね・・・・お姉ちゃん、冬さんとクリスさんは・・・幼稚園時代に・・・・ゴニョゴニョ・・・・」
音葉「ほうほう・・・・・わ〜すごい〜」
あ〜あ、お2人とも気の毒に・・・・・私の口をふさいでも効果なかったようです。
音葉「え〜と時間は・・・・うんあと10分あるね。皆撤収するよ〜」
琴璃「はいな〜」
ソフィ「だね〜。」
クリス「いやぁ〜ここにいてよ〜」
冬「皆・・・ちょっとまってよ〜」
皆後ろの席から前のほうの席に移動します。
男子生徒「おい、冬とクリストファーってどんな関係なんだよ?」
隣にはさっきまで冬さんとお弁当をしていた男の子たちがいました。
ソフィ「幼馴染だよ〜幼稚園以来の感動の再会です。」
男子生徒「ふ〜ん、てっきり恋人かと思ったけどなぁ」
音葉「それはこれからしだいだよ〜」
男子生徒「?」
悠「あの馬鹿、いろいろとネタをもっているなぁ・・・・よし、これサイトの日記のネタにしよう。」
悠さん・・・友達を売る気ですか・・・・・
冬「お〜い・・・・みんな〜」
弱弱しい声で私たちを呼びます。でも当然無視です。
クリス「ごめんなさいっ!」
冬「え?」
クリス「いや・・・・恥ずかしいよね・・・」
冬「まあ、恥ずかしいけど・・・そんなに嫌いでは無いよ・・・」
クリス「え?」
2人とも普段から声が大きいので小声になっても私たちに声が聞こえます。
冬「だってあの時、本当にうれしかった記憶があるもん・・・」
ソフィ「なんか、いい展開ですね〜」
音葉「あとすこし!あとすこし!」
悠「・・・・・・なんだこのおばさんたち・・・・・」
琴璃「ははは・・・・」
え?それって私たちのことですか?
クリス「それって・・・・まあ、私もあの時は・・・・好き・・・・だったかな・・・・」
冬「神様も白状だよな〜もうちょっと早めに教えてもらえば今頃変わっていたよねぇ・・」
え?これって遠回りだけどプロポーズなのかな?
冬「たしか・・・・あのときは「ねえ私はねふ〜ちゃんのお嫁さんになるからね・・・ふ〜ちゃんも私のねお婿さんにしてね・・」って言ってたんだよね?」
クリス「・・・・・ふ〜ちゃんだって・・あのときは「わかった、しょうがっこうとちゅうがっこうは違うけど、こうこうなったらまた一緒になろうね」って・・・・」
うわ〜恥ずかしいです・・・・聞いているこっちが恥ずかしいです・・・・
冬「ふっ・・・ははははは・・・・・・あ〜おかしい〜」
クリス「ふふふ、あははははははは・・・もう、やだ〜」
あれ?2人とも笑い出し始めました・・・
冬「うん、ちょっと約束とは遅いけど・・・よろしくクリストファー・・・クリちゃん」
クリス「ええ、こちらこそよろしくね 冬・・・ふ〜ちゃん。」
厚く握手をします。どうやらうまくいったようです。
男子生徒「おやぁ、これってまさか・・・うまくいっちゃったのですか?」
男性生徒「まじで・・・まさか、あの2人がね〜」
悠「おいおいおいおい・・・今日は祝杯か?」
音葉「んっ!」
琴璃「おめでとうです。」
ソフィ「よかったね、お姉ちゃん・・・・ん?」
皆が祝福モードになってるなか冬さんとお姉ちゃんがこっちめがけて走ってきます。
クリス「白状者に天誅!!」
冬「おまえら〜見世物じゃないんだ!金だしていけ〜!」
え?えええ?え?今度は八つ当たりですか!
こうしてお昼休みは終わりました・・・・
午後の時間割は生物と英語(R)となっています。しかし私たちはさっきのことで授業がまったく身に入りませんでした。
しかし、それに反して2人はなぜかいつもと変わらず授業を受けていました。
・・・・・・・
・・・・・・・
先生「よし、もう終わるぞ、冬。挨拶かけて〜」
冬「起立!」
冬「さいなら〜」
生徒「さようなら〜」
先生「おう、さようなら〜」
あっという間に授業が終わってしまいました。
クリス「さて、ソフィ。帰ろうか?」
ソフィ「え?冬さんと帰るのではないのですか?」
恋人同士一緒に帰るのが普通ではないでしょうか?
クリス「え?なんで?ふ〜ちゃんとかえるの?」
ソフィ「え?なんでって・・・・・」
一方冬さんを見ると、
冬「奈々夜さん、帰りましょうかのお?」
悠「え?おまえ・・・クリスと帰るのでは?」
冬「え?今日なんかあったけ?」
どうやら、2人ともその気が無いようです。
悠「あれ、クリスとお前って恋人じゃないの?」
おお、ずばりの意見!冬さんはどう答えるのでしょうか?
冬「恋人・・・・・う〜ん・・・そこまでの関係ではないよ。まあ、幼稚園の事もあるから恋人以上友だち未満・・・・あっ逆だ、友だち以上恋人未満だって。」
恋人以上友だち未満・・・・援助交際ですか?
まあそれはさておいて、案外あっさりした関係なんですね。念のためにお姉ちゃんにも聞いてみましょう。
ソフィ「ねえ、お姉ちゃんと冬さんって恋人なの?」
クリス「え?う〜ん・・・・・恋人かぁ・・・・・ちょっと違うかな?前のことがあるし家族と同じくらい大切な友だちかな?」
うん、決して恋人ではないようですね。残念のようなほっとしたような・・・・・
クリス「ばいばい、ふ〜ちゃん。」
冬「ばいばい、クリス。」
まあ、こうして今日一日の学校生活は終わりました。



午後6時
―射撃場―
私たちはこの時間になるといつも精神の鍛錬のために射撃場に行きます。ここで、射撃の腕を磨きながら、集中力を養う事により自分の霊力を上げていくのです。
でも、ソマリア様が来てからは、もっぱら実戦訓練になっています。その方法は、ソマリア様が出す式神を倒すといった訓練です。
式神というのは人型に切った紙に霊力を吹き込んで自分の分身を作る術です。そしてこの式神は、自分の言うとおりに操る事ができるのです。簡単に言えばラジコンロボットのようなものでしょうか?
ソマリア「あれ?クリスさん、ちょっと霊力が上がってますね。」
クリス「そうですか?」
ソマリア「学校で何かいいことがあったのですね。」
ソフィ「あたりです。」
ソマリア「ふふふ・・・・・それでは、訓練を始めましょう。こんどは昨日のを二体出しますのですべて倒してください。」
ソマリア様はちゅっと紙にキスをして霊力を吹き込みます。すると、霊力の肉がついてそれは化け物と化していきます。
クリス「ソフィ!一気に片付けるよ!」
ソフィ「はい!」
2体は横に並んでそれぞれ一人一体ずつ向かってきます。
クリス「く・・・・・連係プレーは無理という事ね・・・・」
ソフィ「うん・・・・」
一人一体はりつかれたらあとの回せる余裕がなくなります。いままで2人で一体を倒してきている私たちにとってかなり苦戦させられます。
ソマリア(そう、あなたたちの欠点はお互いにカバーしあって一人では何にもできないところ・・・・敵は必ず一体とは限りません。)
クリス「こんなの・・・一人でも・・・・・」
パン!パン!パン!
乾いた銃独特の爆発音がします。
お姉ちゃんの撃った弾は式神に当たりますがどれもがたいしたダメージにはなりませんでした。
ソフィ「きゃ!・・・・」
お姉ちゃんに気を取られていたせいで私は思いっきり飛ばされて射撃場の壁に叩きつけられました。
ドォォォン!
ソフィ「う・・・ぅ・・・・・」
その衝撃によりうまく空気が吸い込めなくて苦しみました。
クリス「ソフィ!・・・・・・キャァ!」
バシッ!
お姉ちゃんも叩きつけられて壁にぶつかります。
ドォォォン!
クリス「あぅ・・・・ふ〜ちゃ・・・・ん・・・・」
お姉ちゃんは冬さんの名前を声に出します。何でこんなときにも冬さんなんでしょう・・・・
ソマリア「・・・・・・・・」
クリス「負けない!こんなので負けていたらふ〜ちゃんに面目立たないよ!」
言葉を吐くようにして叫びお姉ちゃんが立ち上がります。
クリス「ソフィ・・・【ちょっとまってて】・・・・」
ソフィ「え?どういうこと?」
お姉ちゃんが何を言いたいのか分かりませんでした。仕掛けるときの暗号しにしても、【ちょっとまってて】といった掛け声はありません。
クリス「はぁぁぁぁぁぁ・・・・」
お姉ちゃんは気合を貯めて一気に霊気を解放します。その力は今まで感じたことの無いような強い霊気です。
ソマリア「おお・・・・・」
クリス「Vous etes defait」【あなたを倒します】
ゴゴゴゴゴ・・・・・・
お姉ちゃんは武器を手投げナイフに切り替えます。
なんかすごい霊気です。恐怖さえ感じます。
クリス「un!」
ドスッ!
お姉ちゃんの投げた手投げナイフは見事式神の間接部分に刺さって動きを鈍くさせます。
そして間髪いれずに、
クリス「deux!」
ドスッ!
クリス「trois!」「quatre!」
ドスッ!ドスッ!
クリス「cinq!」「six!」「sept!」
ドスッ!ドスドスッ!
クリス「huit!」「neuf!」「dix!」
ドスッ!ドスッ!ドスッ!
見事間接部分すべてに手投げナイフをさしてしまいました。
クリス「C'est extremite avec ceci!!!」【これで終わりにします】
フランス語を言うお姉ちゃん・・・・すごくかっこいいです・・・
クリス「zero・・・」
ドスッ!
見事、片一方の脳天に刺さり、一体消えました。しかし、お姉ちゃんはもう武器を持っていませんでした。
クリス「Sophia ! Nous demandons l'extremite!」【ソフィリーナ!最後はお願いします】
ソフィ「え?あ、はい!」
パァン・・・・!
最後の一撃を与えるともう一体も消えていきました。
クリス「はぁ・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・」
ソフィ「お姉ちゃんすごいよ!どうやったのですか?」
クリス「いや・・・・無我夢中だったから・・・・」
ソマリア「すごい・・・・クリスさん・・・いつからそんな霊力の一斉開放を覚えたのですか?」
クリス「いえ・・・・無我夢中で・・・・」
ソフィ「しかも、そのフランス語どこで覚えたの?」
クリス「昔本で読んだ事あって・・・・」
ソマリア「う〜ん・・・私はお二人の力を見くびっていたようです・・・・こんなに強いなんて・・・・・・」
ソフィ「お姉ちゃんはどんどん強くなっていくね・・・・・」
ソマリア「はい・・・でもこれは霊力の問題ではありませんね・・・・誰かを守ろうとする意志が一時的にクリスさんの力を増幅させたのではないでしょうか・・・・」
クリス「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・」
お姉ちゃんはとても苦しいそうで額にはすごい汗をかいていました。
ソマリア「・・・・今日はこのくらいにしておきましょう・・・・明日からは違う訓練をしてもらいましょうか。」
ソフィ「はい、分かりました。」
ソマリア「あ、私もくりすさんを運ぶのを手伝います!」
ソフィ「すいません・・・・・」
こうして私たちの一日は終わりました。
神谷 ソフィリーナ