夜明けの始まり





○	第二話:「夜明けの始まり」







クリス「おはよう・・・・・」

ソフィ「お姉ちゃん、かなり眠そうね・・・・」

2人が同時に教室に入ってくる。この2人も双子の姉妹だった。

女生徒A「おはようっ!」

女生徒B「また夜中までおきていたんでしょ〜」

ソフィ「まぁね〜本読んでいたら3時まで起きていたから・・・・・」

変わりの無いいつもの朝の学校の風景だった。学校来ると同時に寝てい

る生徒、今日出す課題に答えを見ながらやっている生徒。ここみたいに

集まって話し合っていたり、一人内職をやっている者・・・・・

ガララ・・・・・

木製の教室の扉が開く

琴璃「おはようございます〜」

音葉「あざ〜・・・・す・・・・」

半分寝ている音葉と琴璃が教室に入ってくる。

ソフィ「あ〜音葉さん琴璃さんおはよう〜」

クリス「おは〜」

生徒C「あれ、音葉怪我してるよ?」

そういって額に巻かれている包帯を指差す。

音葉「いや〜昨日帰り道で自転車から転んじゃって・・・・・・」

女生徒A「あら・・・痛くない?」

音葉「大丈夫、もう痛くないから〜」

クリス(・・・・昨日の・・・強かったの?)

クリスがそっと琴璃に耳打ちする。クリスやソフィも音葉と琴璃の同業

者みたいなもので。聖キリスト教会に属している除霊者なのだ。だから

昨日起きた事も知っているのだ。

琴璃(力的には普段と変わらなかったけど、霊力が上がってきてるよ)

琴璃も耳打ちを返す。

ソフィ(最近、霊たちが騒いでますからね・・・・・何かあったのかな?)

音葉(あ〜京子さんに聞いたら、霊の親玉が出たらしいよ。そのため、

      低級レベルの霊まで力が上がっているらしいよ。)

状況を察した音葉が耳打ちに加わる。

クリス(親玉って?霊は単独行動じゃないの?)

音葉(それがね、低確率で極端に強い霊力を持った悪霊が生まれるこ

      とがあって、そいつはかなりの知力をもっていて、仲間・・・

      奴隷を作り始めるんだって。)

琴璃(それで、その親玉は奴隷にする代わりに低級レベルの霊力を上

      げるらしいです。自分の周りを強くするためですね。)

ソフィ(そうだったのですか・・・・)

クリス(これから厄介になりそうね・・・・・・)

キーンコーンカーンコーン・・・・・

話が終わると同時にチャイムがなった。







クリス「ふぅ〜学校もおわったぁ・・・・・」

ソフィ「最近時間の流れが速いね〜」

かれこれ高校も3年間もやってきているのだ、学校にもなれて時間

の流れも早く感じる。

しかも、3年生は受験関係で部活動も無い。

クリス「帰りますかな〜」

ソフィ「だね、ここにいてはいけないみたいだね・・・・」

今日は受験模試の日で学校が終わっても残ってテストを受ける人ば

かりなのだ。クリスもソフィも教会の後を継ぐので受験勉強はやら

なくて、ここにいると何か気まずいものがある。







クリス「ねえ、ソフィ。何か感じない?」

ソフィ「うん、何か感じるね。」

後ろになにか圧力みたいな重いものを感じる。それは決して誰かが

乗っているといった物理的な重さではなくて、殺気みたいな雰囲気

のようなものだった。

エミカ「ばれてる〜」

クリス「やっぱりエミカか〜」

ソフィ「こんなところまで・・・なにかあったの?」

エミカは2人の使い魔で、こちらは猫の耳が生えている。でも、こ

ちらでも使い魔の仕事はかわらず、主に家事を任せている。この姉

妹も早くして両親をなくしているので二人にとってエミカはお姉さ

ん的存在だった。

エミカ「いやね、なにか嫌な感じがしたから迎えに来たの。」

クリス「考えすぎですよ〜このとおり元気ですから〜」

ソフィ「・・・やはり、霊たちのことですか?」

このエミカも霊であるため、霊界の変化はわかる。このところ著し

く悪霊の質が上がっている事も。

エミカ「うん・・・・今日の夜中、頼めるかな?」

クリス「出ましたか?」

ソフィ「場所はどこですか?」

エミカ「ごめんね、私が行けばすぐ終わると思うけど・・・・力を

       開放しないといけないからね・・・・」

京子もそうなのだが、エミカももともと悪霊だったのだ。京子のほ

うは自然に心を取り戻して1000年前に前代と契約したのが始ま

りだった。そのため、京子は霊力を解放しても安定しているのだ。

しかし、エミカのほうはまだ使い魔としての時間が浅く、またおじ

いさんの代がそのころ不安定だったエミカを保護するために契約し

たのが始まりなのだ。いったん霊力を開放すると悪霊になるかもし

れないのだ。

クリス「いえいえ、私たちの仕事ですから・・・」

ソフィ「そうですよ、家のことをやっていただけるだけで満足です

        よ〜」

エミカ「ありがとう!でも、私を使い魔にしてくれて本当によかっ

        たと思うよ。そうでなかったらこうやって二人とも話すこ

        となく大気に返されていったから・・・・」

クリス「エミカは悪霊と善霊をさまよっていたのですよね?」

エミカ「そうだよ〜あのころは、全員が敵の様に思ってたよ・・・

       ・悪霊も善霊も、人間も・・・・・」

ソフィ「でも、力がなくなるだけで、安定するものなのですか?」

エミカ「私の場合は、精神に比べて霊力が多すぎたために力に飲み

        込まれて自分を忘れていたのが原因だよ・・・・そのころ

        は力で解決できたから、意志がなくなりかけていて悪霊に

        なる寸前だったんだ。そのときに。おじいさんと戦って力

        をなくしたら、急に頭の中がすっきりしてね・・・・ホント、

        おじいさんは強かったなぁ・・・・」

いまの姿からは想像できないが、エミカは霊力だけで言えば日本最

強の強さだったのだ。しかしそれに勝ってしまうおじいさんもすご

いのだが。







クリス「さて・・・・いきますか。」

ソフィ「ですね。」

時間は夜の2時。辺りは人影無くひっそりとしている。

エミカ「気をつけて行ってらっしゃい〜」

2人は、寒い漆黒の闇に消えていった。

クリス「場所は?」

ソフィ「うわ・・・・学校だよ・・」

クリス「学校?・・・私たちの?」

ソフィ「うん。通りで学校にいる間中霊気を感じていたんだ・・

        ・・」

クリス「夜中の学校か・・・・・雰囲気あるなぁ・・・・」

2人は歩いて学校へ向かった。自転車に乗ればいいのだが今は修

道服で、スカート部分が長すぎて自転車に絡まるため乗れないの

だ。タクシーとかそういう手もあるのだが寄付金やキリスト教会

からの支援金で運営しているのだがそれでだけでは生活費だけで

精一杯でお金が足りないのだ。両親が生きているころは両親が働

いていたのでゆとりがあったが、今はそれも無く、バイトもして

いないのでお金の面で苦労する事は多かった。

クリス「はぁ・・・・はぁ・・・・・なんか学校に着ただけで疲

        れたよ・・・・・」

ソフィ「この服重いからね・・・・・」

修道服は外見軽いように見えるが、対霊仕様なのでかなり生地が

厚くできている。しかも、武器を入れてあるので重量的には30

Kgぐらいだろうか

ソフィ「どこにいるのかなぁ・・・・」

クリス「こう見ると広いね〜」

学校の中では狭いほうにはいる学校なのだが、ひとつのものを探

そうと思うと十分に広く感じる。校舎の中、体育館、校庭、定時

制の体育館・・・・これらを一つずつ探していかないといけない。

ソフィ「いませんね・・・・・・」

クリス「校舎1階にはなし・・と、次は二階だね。」

霊の居場所は霊圧を感じることによって分かる。霊は姿を隠す事

ができるので視覚は頼りにはならないのだ。しかし、霊圧だけは

隠す事ができないので、それを頼りにして探すのだ。霊圧なら壁

や階層に関係なく感じることができる。

ソフィ「・・・・・いない・・・・・」

クリス「え〜校舎と定体(定時制体育館)は探したよ〜〜。」

なおさらグランドにいるならすぐに分かるので探しても無駄だっ

た。

ソフィ「どこにいるんだろう・・・・・」

クリス「微かに霊圧は感じるんだけど・・・・・・」

そう、微かに霊圧は感じるのだ、しかし、目標に近づきすぎてい

るのでその霊圧の違いが分かりにくくなっている。

クリス「あっ・・・・」

ソフィ「え?」

クリス「すっかり忘れてたけど、定時制の教室がある・・・・」

ソフィ「あっ・・・・」

この学校は、かつて普通科全日制と普通科定時制があり、全日制

の校舎と体育館、定時制の校舎と体育館があるのだ。体育館は今

でも使っているのだが、校舎は今では全然使っていなくて、存在

さえ忘れかけているのだ。

クリス「あそこなら昼間でも隠れられるし・・・・」

ソフィ「早く行かないと・・・」

2人はダッシュで定時制の校舎に向かう。

クリス「やっと見つけた・・・・・・」

目的の霊はやはり定時制の校舎にいてそこで力を蓄えてるところ

だった。

ソフィ「あなたをこれから排除します!」

そういうと2人は服から拳銃を取り出す。

悪霊「チッ・・・ジャマガハイッタカ・・・・・」

クリス「こいつ・・・・強い・・・・・」

悪霊がこちらを向き霊力で威圧する。その力は半端無く強くて二

人は押しつぶされそうになる。

ソフィ「なんて禍々しい霊気・・・・・押しつぶされそう・・・」

まだ、何もしていないのにクリスたちのほうが分が悪いようにな

った。悪霊相手に力押しでは勝てない。精神力の強さがものを言

うのだ。

悪霊「オマエタチモ・・・・キエタイノカ?」

とても低い声があたりに響く。悪霊に近くには小さな風の渦がで

きていてほこりが舞い上がっている。

クリス「冗談。あなたを消しに来たのです。」

とは言うものの、正直激戦は免れなさそうだ。

ソフィ「ハァァァァッァ!!!」

ソフィは自分に活を入れて精神を挙げ始める。

クリス「ハァァァァァァ・・・・・」

負けじと、クリスもあげる。

悪霊「オマエタチヲ・・・・ケス・・・・・」

2人の霊力の上がったのを感じたのか、先に攻撃を仕掛けてきた。

シュバッ!!!

しかし、その一振りは大振りすぎでかわされる。その隙を狙い二

人は銃弾を打ち込む。

ダンダンダンダン!!!

しかし、悪霊の見た目とは思いもしない俊敏な動きでそれを避け

る。

ソフィ「あなたは・・・・・獣の霊ですね・・・・」

だんだん霊の素性が分かってくる。霊も戦闘モードに入ったため

自分を隠す事をやめたのだ。

大狼「ワレハ、コノセカイヲコワシニキタモノナリ・・・・・・」

はっきりした口調だがどこか日本語で不自然な発音で狼がしゃべ

る。しかし、言葉を話せる動物の霊は知能が高く、5段階に分け

るとにも3ぐらいの強さである。いつも相手にしてるのが2〜1

なので結構強い分類に入る。

クリス「壊すって・・・・あなた一人で何ができるの?」

いくら強いといっても一人(一匹)で天下が取れれば苦労しない。

大狼「ケス・・・・・・・」

また、大狼が襲ってきた。しかし動きは単調で二人にはかわしや

すい。

ブォン!

ドラム缶ぐらいの大きさのものを振ったような音がする。これに

当たったらひとたまりも無いだろう。

ソフィ「お姉ちゃんどいて!」

前にいたクリスをどけてソフィアはマシンガンを放つ。

ドドドドドド!!!

両手のマシンガンから合計60発の弾丸が打ち込まれる。もちろん

普通の銃では霊には当たらない。ある地方でしか取れない特殊の金

属を使った弾なのだ。これに当たった霊は霊力を吸い取られ次第に

弱くなっていくのだ。

大狼「オマエノゴウゲキハソンナモノカ・・・・?」

硝煙がなくなり大狼の姿が現れる。しかし、大狼には効いていない

らしくあたりに弾丸が落ちていた。

ソフィ「そんな・・・・・銃火器が効かないなんて・・・・・」

クリス「どうやら、こいつかなり防御に霊圧を使ってるらしいね・

        ・・・」

そういって剣を構える。霊力が奪えないのなら、直接息の根を止め

るのだ。

大狼「グルル・・・・・・・・」

大狼が声を鳴らす。そしてまたこちらに走ってくる。

クリス「ソフィ!援護お願い!」

ソフィ「うん!」

ソフィも弓矢に武器を持ち替えて、大狼を狙う。原始的な武器だが

、これも霊に直接ダメージを与える事ができるので今のような相手

には有効な攻撃方法なのだ。

バシュ!バシュ!

矢が大狼目かげて飛んで行き、太もも辺りに刺さる。そのおかげで

大狼の速度は遅くなり、クリスも狙いがつけやすくなる。

大狼「ぐぉ!・・・・」

クリス「大地に帰れっ!」

ザシュ!!

クリスは心臓に剣を差し込んだ。これではどんな霊も再起不能にな

る。

大狼「クッ・・・・・ボウヲカナエルマデハシヌワケニハイカン!!」

そういうと大狼はソフィの腕に最後の力で噛み付いた。

ソフィ「きゃぁぁぁっぁぁ・・・・・」

クリス「ソフィ!?」

噛んだ所から真っ赤な血が流れている。ソフィは痛みに耐え切れず

に暴れるが、大狼の歯はいっこうに抜けない。

大狼「グググ・・・・・・・」

大狼はあごに力を入れる。ソフィの腕を食いちぎろうとしているのだ。

ソフィ「あがっ・・・・あああああ・・・・・」

メリメリッ!と歯が骨にあたる音がする。ソフィは必死に痛みに耐える。

クリス「この馬鹿犬!地獄に帰れ!!!」

ザシュ!

ソフィの持っていた剣で今度は脳天にさす。さすがに大狼も生きて

はいけず、スゥーっと消えていった。

クリス「ソフィ?ソフィ!大丈夫?・・・・ねえ!!」

その場に倒れこんだソフィは腕から大量に血を流し、痛みのため暴

れている。

ソフィ「あっ・・・・・ああああっ・・・・・・」

クリス「早く電話しないと・・・・・・・」

そういってポケットから携帯電話を取り出し急いで電話する。

クリス「もしもし、エミカさん。早く着て欲しい!ソフィが・・・

        ソフィが・・・・」

しゃべる声が震える。

エミカ「分かったわ、すぐ行くね。」

自体を悟ったのか、主な用件を聞かずにエミカは家を出た。

クリス「大丈夫だからね・・・・」

ソフィ「うん・・・・・私って役立たずだね・・・・・自分を守る

         事さえできないんだ・・・・・」

クリス「いや、完璧な支援だったよ・・・・・心臓をさして生きる

        とは思いもし無かったよ。」

ソフィ「これから・・・・うっ・・・もっと強い敵が・・・出てく

        るから・・・・・」

痛みに耐えながらソフィアはしゃべる。

ソフィ「もっともっと強くないといけないね・・・・」

クリス「そうだね・・・・・・・・」

いままで霊と戦ってきたがこんな怪我をしたのは初めてだった。と

いうか怪我さえなかったのだ。

エミカ「あっ・・・・・ソフィ・・今直すからね!」

いつの間にかエミカがここについていた。どうやら背中の羽をつか

って急いできたらしい。あたりに2〜3枚羽が落ちている。

クリス「お願いします。」

エミカ「うん・・・・・・・・・・」

エミカがソフィの腕の傷に手をかざす、するとかざした部分が光り

始めて、傷口がふさがっていく。

ソフィ「・・・・・・・・・・・」

エミカがやっている事は治癒能力を高めているだけで直しているわ

けではない。霊力にもいくつか種類があって、力を高める霊力、防

御力を高める霊力、自然治癒力を高める霊力・・・・とさまざまな

ものがあるのだ。それを使いこなすのは難しいのだが、鍛えれば最

高の武器になるのだ。

エミカ「はい、終了。血が足りないと思うから、鉄分の多いものを

        とってね。」

ソフィ「ありがとう・・・・・」

エミカが手をかざすのをやめたとき、ソフィの傷はきれいに直っていた。

クリス「久しぶりに見たけど・・・・・すごい力だね。」

エミカ「霊力が抑えられてるからできることだよ。」

ソフィ「・・・・・ごめん、安心したら腰が抜けちゃった・・・・・」

クリス「私も・・・・・急に疲れが・・・・・」

そういうと2人はペタンと腰を下ろす。

エミカ「じゃあ、家に帰ろうか。・・・・・・・・・・って寝るな〜〜〜」

よっぽど疲れたのかその場で寝てしまった。

エミカ「ふう、世話の焼けるご主人様だなぁ・・・・・」

そういってエミカは羽を出して二人を家に運んだ。

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