「望月(15日の月)」


・15話:「望月(15日の月)」



漆黒の夜。
昼間が動とするなら、夜は静であるだろうか?
そのぐらい、夜は落ち着いて静かだ。
しかし、その静でもかとどうしている者はいるのだ。そしてその者も決して人目に映ることなく静の住人である。
彼女たちも例外ではない。
彼女たちは、いつもこの闇の中で活動をしてきた。
誰にも知られずに・・・・・・・

クリス「みんな・・・準備はいい?」
ソフィ「うん、お姉ちゃん。」
音葉「いいよ。」
琴璃「はい、準備は整いました。」
エミカ「OK〜いつでもいいよ〜」
紺「はい、私も良いですよ。」
京子「行きましょう。」
皆は矢合観音の近くの団地、国分団地の中にある公園に集合していた。ここは高度経済成長のときに立てられた団地で今では少し古い団地に入る。そのため、ところどころ新しく立て替えてあるところもあり、さまざまな建物が並んでいる団地になったのだ。
エミカ「私たち、除零者を賭けた戦いです。皆、がんばりましょうね。」
京子「うん、私たちがなんとしませんと・・・世界は大変な事になりますね。」
紺「霊族を全員集まりましたし、絶対に倒せるはずです。」
こうして7人は矢合観音に向かった。



―矢合観音前―
紺「・・・・・感じますか?」
京子「・・・・はい・・・・2体いますね・・・・」
エミカ「いえ・・・・奥にもう2体います・・・・」
音葉「大丈夫です・・・・倒せます!」
紺「いえ、ここは私たちに任せてください。貴方たちは先に本体のほうへ向かってください。」
京子「すぐに追いかけますから・・・・先はお願いしますね。」
クリス「でもっ・・・・・」
エミカ「だめっ!来る!!」
エミカはとっさに音葉、琴璃、クリス、ソフィを押しとばす。
ソフィ「きゃ!」
ズササササ・・・・
4人は3メートルほど飛ぶ。その瞬間、エミカたちの方にかまいたちのような空気の波動が出てくる。
スパァァン!
紺、京子、エミカはいたるところを切り刻まれる。まだ神社に入っていないのに服がボロボロになってしまった。
京子「皆さん大丈夫ですか?」
京子はエミカの飛ばした4人を心配する。でも、傷がひどいのはどちらかというと京子のほうである。
音葉「京子さんこそ・・・・・大丈夫ですか?」
京子「はい、服を切られただけですから・・・・・それよりも早く!中へ行ってください!」
紺「また来ます!」
エミカ「女だからって甘く見ないでよ!」
ダダダダ・・・・・
エミカと京子は何かの気配のするほうへ走っていった。
キィィィィィィン!!
刃と何か硬い物が当たる音が遠くのほうでする。
紺「鬼海の方は任せましたよ!」
琴璃「でも・・・・・」
ソフィ「紺さんたちがいないと・・・・・・」
紺「大丈夫です。あなたたちはまだ鬼海に弱いですが、戦い方は引けをとらないはずです。自分を信じれば必ず倒せます。私も二人を追いかけるので、それでは〜。」
タタタタタタ・・・・・・
紺も漆黒の闇の中に消えてしまった。
京子「きゃぁぁぁ!!」
紺「く・・・・・・」
遠くのほうで3人の叫び声が聞こえる。
音葉「・・・・・・・・」
琴璃「お姉ちゃん・・・・・・・」
音葉「ここは、皆を信じて先に行こう・・・・・」
クリス「うん・・・・・」
そういって4人は駆け出していった。
なぜか、周りの電灯が消えているため、あたりは月夜の明かりしかない。
クリス「・・・・紺さんを信じて・・・・先に行こう!」
音葉「そうだね!」
タタタタタ・・・・
4人は神社の中のほうに走っていく。神社の中心はやけに明るかった。
京子「・・・・・・皆さんに本当の事を話さなくて良かったのでしょうか?」
エミカ「・・・・・さっき話したら、逆に鬼海と戦うのをあきらめてしまいますよ・・・・」
紺「そうですね・・・・・私たちはあの子達に何一つ教えれないのでしょうか・・・・ごめんなさい・・・・」
京子「・・・・あの人の運命は変えれないのでしょうか・・・・」
エミカ「・・・・・・・・無力です・・・・・」
噛み締めるように3人は言葉を吐く。この3人にはこの戦いの末路が分かっているのだ。



音葉「はぁ・・・・はぁ・・・・・あれ?あそこ・・・明かりがついてるよ?」
琴璃「本当だ・・・・入り口付近は明かりが一つもついていなかったのに・・・・」
ソフィ「・・・・・何かいませんか?あそこに」
ソフィが指をさす方向に誰かがいる。4人は鬼海と思って武器を強く握り締める。
タタタタタ・・・・
その何者との距離はだんだん縮まっていく。ぞしれだんだん輪郭もはっきりしてくる。
音葉「・・・・人?」
それは、鬼海のようなグロテスクなようなものではなく、人の様に見える。
琴璃「だとしても・・・・なぜ、こんなところに・・・・」
クリス「油断はしてはいけません・・・・・皆!」
ソフィ「うん、分かってるよ!」
たたたた・・・
音葉「そこの者!ゆっくりこちらを向きなさい!」
張り詰めた声で音葉だ怒鳴る。そして皆はいつでも攻撃できるように態勢を整える。
???「・・・・・・」
ぞの者は、ゆっくりとこちらを振り返る。服はとても長いロングコートを着ていて、素肌は見えない。しかし、あのロングコート・・・どこかで見た事ある形だった。
???「遅かったね。体冷えちゃったよ・・・・・」
ロングコートの者は手を上げてこちらに振り向く。この声・・・どこかで聞いた事のある声だった。
琴璃「あなたは・・・・・・・・」
明かりは出ているが、目が慣れていないのか確認するのには少し時間がかかる。
???「クリスもそうだけど・・・皆、昼間とは大違いだね?」
ロングコートの者はコツコツと音を立てながらこっちに迫ってくる。
クリス「・・・・え・・・・冬・・・・・なの?」
誰もがそう思った。聞きなれた声、そして声質・・・・・まぎれも無く冬だった。
冬「うん、来ちゃった。」
冬は少しがっかりする。つい最近まで死闘と呼ばれるぐらいの戦いをしたのに、すっかり忘れられてしまっているのだ。
ソフィ「え?でも・・・・なんでですか?なんで、冬さんがここにいるのですか?」
冬「こんばんは。皆。・・・僕がここにいる理由はこの姿かな?」
バサッ!っとロングコートをなびかせる。
クリス「・・・・それは、第1除霊部隊専用のコート・・・・・」
第1除霊部隊というのは、クリスやソフィのいるキリスト教の中にある、除霊部隊の大本の部隊である。つまり、クリスモソフィも冬の部下という事になるのだ。
冬「そう、だから今夜はよろしくね〜」
いつもの冬がここにいる。どう考えても、この冬が戦闘するとは思えない。でもこの服を着ているということは、冬も除霊者なのである。
音葉「・・・・でも・・・・」
琴璃「え?え・・・・・・・」
突然の訪問者により、皆パニックに陥る。
冬「それはね・・・・・・・いや、そんなことを話している時間がなくなったようだ・・・」
ヒュン!
冬がロングコートから手投げナイフを出して本堂に向かって投げる。
キィィィン!
総遠くない方向で手投げナイフがはじかれる。
音葉「・・・・出たのですね・・・」
冬「うん・・・・皆、構えて!」
そういうと、冬は本堂に向かって駆け出した。
クリス「ふ〜くん!」
キィィィン!
そして金属がぶつかる激しい音がする。
琴璃「これが・・・・・鬼海・・・・・・」
鬼海の姿は人型で、遠くから見た感じは霊とはわかりづらい姿だった。唯一違う点としては、背中から巨大な手が生えている事だろうか。その手は半透明で奥の風景が透けて見える。そして、琴璃たちからはざっと50メートルは離れているだろう。でも、その禍々しい霊気は嫌というほど伝わってくる。
冬「・・・・・ヤッ!・・・・ソレッ!・・・・・ディヤァァァァアア!」
声にならないような叫び声をあげる。そしてするどう刃の鬼海を切りつける。
キン!キィィィン!キン!
冬は激しく攻撃を加える。しかし、すべてはじかれてしまう。
鬼海「ふふふ・・・・・そんな攻撃では戦えんぞ・・・・・」
冬「誰もこんなもので戦おうとはしてないよ!これから本気で行くからな・・・・・」
その瞬間。冬が消えた。
消えたというのは正しくない。一瞬にして鬼海の背後に着き、ロングコートから出した刀で切りつける。
ブオン!
しかし、鬼海もおどろいた様子は無くて、背中にある手で払おうとする。
冬「クッ・・・・・」
音葉やクリスたちはそれもただ見ているだけだった。いや、動けなかったといったほうが正しいのだろうか。いままでのんびりしていた冬がこんなに動いているのだ。
音葉「・・・・・・・」
クリス「・・・・・・・・」
しかし、この2人には見覚えがあるような気がする。しかし、思い出そうとしても全然出てこないのだ。
音葉「ねえ・・・・クリス・・・・・」
クリス「うん・・・・・・なんだろうこの気持ち・・・・・・・」
言いように無い気持ちでいっぱいになる。
冬は軽業師の様に5メートルほど飛んで背中の手を避けてこんどは刀を手投げナイフの様に鬼海の頭に目指して飛ばす。
キィン!
刀は間一髪のところで避けられて地面に刺さる。
鬼海「ふん・・・・少しは戦えるようだな・・・・」
シュン・・・・!
いきなり、背後の手が音葉めがけて飛んでいく・・・・・
ドカァァァァァン!
音葉たちは吹っ飛び、高さ5メートルまで中に舞う。
冬「あぶっ・・・・・・」
冬が叫ぶのも遅く、彼女たちの体は空を舞っている。
音葉「ぅ・・・・・衝撃波でこの位なの・・・・・」
彼女たちは戦いなれているだけあって、飛んでいる最中に体の体制をととのえて攻撃に移る。
ドンドンドン!!!
クリス、ソフィが特殊弾を数発撃つ。
ボスボスボス!!!
弾は、あと20センチで当たるというところで急停止をしてその場で止まってしまう。
クリス「え・・・・・弾が届かない!?」
鬼海「今回の除礼者はこのくらいしか霊力を持っていないのか・・・・?」
音葉「うおおおおお!!」
琴璃「当たりなさい!」
音葉、琴璃も空中で手投げナイフを数十本投げる。
シュシュシュ・・・・・・
スッ・・・・スッ・・・・スッ・・・・・
また20センチぐらいで止まってしまう。
音葉「なんで?」
冬「霊力ももっと上げろ!そうじゃないとさわる事さえできないぞ!」
鬼海が彼女たちに気をとられている隙に、冬は背後から攻める。
シュッ!
ブォン!
冬「うぉ!・・・・・・・」
ドコォォォォン!
背中の手によってまた吹き飛ばされてしまう。
冬「う・・・・ぅっ・・・・」
クリス「ふ〜くん!!」
地面に着地したクリスが冬の元に駆け寄る。クリスの声は裏返っていた。
冬「こら・・・・よそ見は・・・・禁物だよ・・・・」
どうやら、胸を強く打ったらしくてうまく喋る事ができないようだ。息をする音もなんだかおかしい。
クリス「ふ〜くんこそ・・・・ボロボロじゃない・・・・・」
音葉「クリス!あぶない!」
クリスの頭1メートル上空に手が現れる。
冬「くっ・・・・」
とっさにクリスをかばい、自分を背に向ける。
ドシィィィン!
大きい硬いものが落ちる音がする。
冬「・・・・・うぐっ・・・・・・・」
痛みをこらえる口から血が出ている。
ソフィ「お姉ちゃん!?」
クリス「ふ〜くん!?!
冬「・・・・・だから言っただろ?よそ見は禁物だって・・・・・・」
クリスの顔にも血がつく、どうやら頭を切ったらしい。
こんなに怪我をしたのに冬は怒る気配が無い。
クリス「・・・・・血が・・・・・ふ〜くん・・・・血が・・・・・」
クリスは泣き顔になる。自分のせいで好きな人を傷つけてしまったのだから。
冬「大丈夫・・・・・もう・・・・使わないから・・・・・」
ニコッと笑うが、どこか寂しい。
クリス「使わないって・・・・・?」
冬「来るよ!」
ドコォォォォン!
クリスを抱いて横に跳躍して攻撃を回避する。
冬「さて・・・・・皆、俺・・・私がバリアみたいな物を壊すからそこを攻撃して。」
音葉「え?・・・・・は、はい!」
琴璃「分かりました!」
ソフィ「はい!」
クリス「・・・・・・」
タタタタ・・・・・
冬「霊気の壁さえどうにかできれば・・・・」
ザンザンンザンザン・・・・・・・・!!!!
帆のすごいスピードで鬼海に残檄を加える。しかし、どれもが見えない壁にはじかれて鬼海には届かない。
音葉「・・・・・皆は待ってて!」
琴璃「お姉ちゃん!?」
音葉「やぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ザンザンンザンザン・・・・・・・・!!!!
冬「馬鹿!後ろに下がってろ!」
音葉「自分だけ格好つけしないでよ!私たちはみんなでコイツを倒すって決めたんだから!」
冬「わかった・・・・・でも、あぶなくなったらすぐに逃げるんだぞ!」
ザンザンンザンザン・・・・・・・・!!!!
ザンザンンザンザン・・・・・・・・!!!!
冬は刀を両手に順手で構えて、まるでタガーの様に残檄を繰り返す。
音葉も小刻みに回りながら残檄を繰り返す。
冬「・・・・・・くっ・・・・硬すぎる・・・・」
鬼海「威勢はいいが・・・・・霊力がまるでなってないぞ・・・・・」
琴璃「そんな・・・・・・・」
琴璃がガクッとひざを付く。
ソフィ「どうしたのですか?」
琴璃「鬼海の霊力がずっと上がり続けているのです・・・・・・夏樹様より多いかもしれません・・・・・」
ソフィ「ええ!」
鬼海「小ざかしい・・・・・離れろ!」
鬼海が念のようなものを出して、冬、音葉を引き飛ばす。
音葉「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
ドスッ!2人は石畳の床に叩きつけられる。
冬「つ・・・・・・あばら・・・・イったか・・・・」
鬼海「ふふふ・・・・・もうすぐこの世はわれのものになる・・・・」
冬「そんな事させるか!」
鬼海「ふん・・・・言葉だけは生き甲斐おって・・・・それでも、我が対になるものなのか?」
クリス「対だって?」
冬「言うな・・・・・」
おなかに檄痛が走るために、大声が出せない。
鬼海「なんだ・・・・今回の神の僕はこんな事も知らないのか・・・・」
ソフィ「え?どういうこと・・・・・」
鬼海「我は1の者、有の存在なのだ。それに対し奴は0の者、無の存在なのだ。」
鬼海「我はより強くなるために、奴を作りこれまで転生を繰り返してきた。更なる強さを求めるためにな。」
冬「ああ、5日前に自分の存在を思い出したよ・・・・俺はお前に操られている人形だってな!!」
琴璃「・・・・」
冬「しかし、それもここまでだ。お前はここで消滅させる!!」
刀を杖代わりにして立つ。しかし、体中悲鳴を上げていてろくに動かせない。
鬼海「ふ・・・・・お前は夢を見なかったのか・・・・・・」
冬「未来は自分で切り開くものだ!」
ダダダダダ・・・・・!!!
最後の力を振り絞り、冬は鬼海に向かって走り出す。
キィィィン!
鬼海と冬に激しい攻防戦が繰り広げられている。
ソフィ「0の者・・・・無の存在って・・・・まさか・・・・・」
琴璃「ありえません・・・・・・冬さんには・・・・・」
クリス「霊力がまったく無い・・・・・・・・」
音葉「・・・・・・なんで、戦えるの・・・・・?」
そう、冬には一切の霊力が無かったのだ。一般人でもごく少量だが霊力は流れている。霊力の流れていない物があるとすれば、それは死体や人工物だけだ。しかし、冬は紛れも無く生きていて、あそこで鬼海と戦っている。
冬「テメェの都合にこれ以上付き合っていられるか!!!」
鬼海「しかし・・・・お前は過去4回の戦いで勝てたことがあるか?」
冬「あれは、引き分けだ!負けてはいない!!!」
冬の足元にはポタッ・・・ポタッと血が付いている。
冬「人間の愛はこんなもんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!!」
普段温厚の冬が感情をむき出しにして戦いっている。学校では滅多に起こらないあの冬がである。先生にしかられても、親にしかられても反論一つしないあの冬がである。
ズバッ!
そのとき、冬の刀が霊気の壁を破った。
鬼海「なにぃぃぃぃ!糞が!!!」
冬「皆!狙って!!!」
さすがは、戦闘しなれているだけあって4人の動きは素早かった。
音葉「おちろぉぉぉぉぉ!!!!」
琴璃「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
音葉と琴璃はクリスから借りたサブマシンガンを叩き込む。
ガルルルルルルル!!!!
今まで当たらなかった攻撃が鬼海に当たる。
クリス「まだまだぁぁぁぁ!」
ソフィ「目標・・・・落とします!!!」
シュ・・シュ・・・シュ!!!
ダン!ダン!ダン!
クリスは手投げナイフを、ソフィはハンドガンを打ち込む。
鬼海「うぉぉぉぉぉ・・・・・我が攻撃を受けているだと!!」
ズドォォォォォン!!!
鬼海はしばらくもがき苦しみ、その場で倒れた。
冬「・・・・ふう、ナイスファイト!」
髪の毛は血に染まり、赤くなっている。
音葉「・・・・・終わったの・・・・?」
琴璃「・・・・・霊力は微弱です・・・・・」
クリス「冬!・・・・」
ソフィ「あっ、お姉ちゃん!!」
クリスが冬に抱きつく、すると冬はその場で苦しみ始める。
冬「ばか・・・・・あばら折れているから・・・・そっと抱きついてください・・・・」
クリス「あっ、ごめんなさい!!」
あわてて、冬からおりる。
音葉「・・・冬・・・・・鬼海ってどうなったの?」
冬「うん・・・・」
冬がゆっくりと座る。
冬「心臓にあんなけ打ち込んだんだ・・・・多分死んだよ。」
琴璃「そうですか・・・・」
倒す相手を倒したのに、なぜかみんな緊張が解けない。
ソフィ「あの・・・・冬さん・・・・」
冬「ん?・・・・あ、僕の事ね?いいよ、これが終わったら話すつもりだったから・・・」
クリス「ふ〜くんは・・・誰なの?」
冬「ん〜誰っていわれると難しいなぁ・・・・ぼくは永月家の冬という人間だよ。」
ソフィ「でも・・・・霊力が・・・・・」
冬「うん、まったく無いよ。このことは5日前に思い出した事だから本当かどうか分からないけど・・・・僕は、過去に4回ほど転生をしているんだよ。しかも、この鬼海を倒すだけにね。」
琴璃「転生は・・・・・」
冬「そう、本当なら転生なんてできるわけが無いんだよ。僕は神の化身・・・・代わりとして鬼海を倒すために転生させられているんだ。そして、この鬼海も転生を続けていた。」
音葉「じゃあ、いままで過去3回起きていた鬼海騒ぎって・・・・・」
冬「そう、こいつだよ。こいつは、何度も転生する事によって絶対的な強さを手に入れることを考えていのだよ。」
クリス「思い出した・・・・・・・」
音葉「うん・・・・・・あの時のコートの人って冬だったんでしょ・・・・・」
今まで曖昧になっていた記憶の断片が元に戻っていく。
冬「あれ・・・・・記憶が・・・・・・・?」
決して戻るはずの無い記憶が戻りかけている。冬もこれには驚く。
クリス「思い出したよ!!あの時の人はふ〜くんだよ!!」
音葉「冬は偶然いたわけじゃない!元から戦っていたんだ!!私たちと一緒に・・・・」
琴璃「・・・・・記憶が・・・もどります。」
ソフィ「でも・・・・冬さんが変えた記憶が戻る事なんて・・・・・・」
冬「・・・・・ははは・・・・本当に君たちは不思議な力があるな・・・・・今までの経験でなかったことばかりおきているよ・・・・」
冬がみた夢とは全然違う展開になってきている。もしかしたら、もしかするのだ。
クリス「でも・・・・・もう鬼海も倒せたんだよね・・・・・」
音葉「冬!」
ガバッ!!
音葉が飛び込んでいく。戻った記憶によると冬はもう消えてしまう事になっているのだ。
冬「おう・・・・・・痛い・・・・・・・」
音葉「ねえ、消えないよね?消えないよね?」
珍しく音葉が取り乱している。というか、こんな音葉を見るのは始めてだった。
冬「みたいだね・・・・・歴史が・・・変わった・・・・・」
音葉「よかった!!よかったね!!」
ギュっと冬を強く抱きしめる。
冬「ばか、泣くな!うれしい・・・のかは知らないけど、人様に涙は見せちゃいけない!!」
音葉「もう、絶対に記憶を消さないから!!」
音葉にとって大事な記憶が戻ったのだ。二度と消したくないし、もう冬とはなれたくない。そんな気持ちでいっぱいだった。
ざざざ・・・・・・
すると、辺りから嫌な空気が入ってくる。
鬼海「・・・・・まだ終わらないよ!」
一同「!」
振り返ると、鬼海がピクピク動き始めていた。
ソフィ「そんな・・・・」
鬼海「また・・・・来世に続けてやる・・・・」
鬼海はクリス目指して突っ込んできた。クリスは急の出来事だったので立ち上がるのが精一杯だった。
クリス「やぁ、やぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドッ!
クリスは何者のかの力によって飛ばされる。ゆっくりクリスが目を開けると・・・
冬「く・・・・・・また・・・・前と一緒か・・・・」
鬼海「ふふふ・・・・とっさに守ったのは良いが・・・・まだ、お前は私とともにする運命のようだ・・・・ハ、ハハハハハハハハ!!!!」
冬の体内に鬼海が入っていく・・・・
シュル・・・・シュル・・・・・
クリス「ふ〜くん!?」
ドク!・・・ドク!・・・ドク!・・・
心臓が熱い、燃えそうなくらいだ・・・・
でも、体が言う事を聞いてくれない、いや、体はまだ動く・・・・思考が動こうとしないのだ
音葉「冬?!」



京子「紺!大丈夫ですか?」
こっちもかなり苦戦していた。
紺「はい・・・・・大丈夫です。」
エミカ「・・・・・やはり・・・・今までの中で一番強いね・・・・・」
京子「ですね・・・」
そこには男が立っていた。そう、このまえ冬たちが戦ったグルーという男だ。このときの為に鬼海はグルーと同じ存在を作っていたのだった。
グルー「ふははははっは・・・・我、最強なり。」
しかし、強さは格段に違う。
狼「ガウガウ!!ガルルルルルル!!!」
グルーから出た狼が牙を見せながら威嚇する。
京子「・・・・・あまり使いたくなかったのですが・・・・一段階は開放しますね・・・・」
紺「・・・・分かりました・・・・」
エミカ「うん、こっちも頑張るから。」
京子「はぁぁぁぁぁっぁ・・・・」
京子の髪の毛が逆立ち始める。そして、あたりは京子のとんでもなく大きい霊気に包まれる。
ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・
バリバリバリ!!!
石畳がベニヤ板の様にはがれて飛んでいく。京子の周りには強風が吹き荒れる。
エミカ「・・・・・・すごい・・・・・」
京子「・・・・・我・・・は・・・ふ・・」
紺「あっ・・・・やはり、ダメでしたか・・・・・・」
失敗したら九尾の狐になってしまい敵に回ってしまうだろう・・・・そうすれば勝ち目は無くなる。
京子「・・・・我は・・・・・・私は大丈夫ですよ。」
紺「でも・・・・我って・・・・・・・・」
京子「いやあ、意識ははっきりしているのですが・・・・記憶まで戻ってきてまして・・・・」
エミカ「じゃあ、九尾の感情は?」
京子「はい、まったく無いです。私は京子ですよ。」
どうやら、成功したらしい。しかし、この禍々しい霊気は妖気に近いものを感じる。
紺「しかし・・・・・これほどすごいものなのですか・・・・・・」
狼「ガルル!!!!」
ダダッダダ!!
痺れをきかせた狼が京子目かげて突進していく。
京子「甘いです!」
ズパァァァ!!!
狼が京子に噛み付く週間に狼は肉片になっていた。しかも狼という形が見えない。
京子「うう・・・・力加減ができませんね・・・・・」
予想以上に破壊力に京子自身が驚く。
エミカ「よし、京子さんは本体を!私たちは周りを片付けますので・・」
紺「うん。わかったよ。」
京子「はいな〜」
カチャ・・・・
エミカは古そうなリボルバーの拳銃を取り出す。
紺は薙刀を構える。
ドドドドドッ!!!
エミカは一瞬にして6発の弾丸を撃ちつくす。
しかも、連射ではなく同時に発射しているのだ。とうぜん、まったく同じ時間に撃つ事は不可能だが、エミカの射撃速度は着弾時間を±0.00001間で縮める事が出来る。そのためほぼ同時に弾は飛んでいくのだ。連射速度で言うと、一分間に1万発は撃てる計算になる。
バスバスバスバス!!!
同時に6体の獣が消えていく。それに同調するように紺が獣の群れの中に飛び込む。
ヒュン!シュシュン!!
薙刀をぐるぐる回す。その無駄の無い動きといい一振りするだけで確実に10体の獣が切られていく・・・・
紺「さあ、まだまだいけますよ!」
エミカ「本気出さないとすぐに全滅しちゃうよ〜」
圧倒的な破壊力である。
ドドドドドドッ!
スバッ!ズババ!!!
2分もしないうちに霊の瓦礫の山が出来る。数にしてざっと100体位いるだろう。
京子「さて・・・・今度は私の番ですね!」
グルー「ふふふ・・・・・いいだろう、私本体が相手をしよう!!」
キィィィィィィン!!!



冬「大丈夫・・・・・前と同じだから・・・・」
鬼海が体内にはいているようだがなぜか、その体を支配しようとはしない。
琴璃「・・・・・・・鬼海が・・・・・」
冬「ふう・・・・・300年前と一緒か・・・・・・」
過去3回ともこうして鬼海を封印してきたのだ。今回も変わらないらしい。
鬼海「そう、お前は私の手先であるだけでいいのだよ・・・・・」
冬は少し思い悩んだ後、彼女たちにこういった。
冬「ごめん・・・・・もう、お迎えが来たようだ・・・・皆、僕を殺してくれ!」
音葉「なっ・・・・・」
琴璃「え・・・・・」
ソフィ「・・・え?」
意味が分からず、聞き返してしまう。
冬「言っただろ、僕は過去に3回転生をしているって。」
ぐじゅ・・・グジュ・・・という音を立てながら冬が侵食していくのが分かる。
ソフィ「え?どういうことですか?」
冬「鬼海は倒せなかった。でも、過去の神の使いは最悪な事態を防いだんだよ。一人の体に封印する事によってね。」
そう、この未来は決まっていた。そして、冬もこの未来を知っていた。実は、5日ぐらいに力が戻ったと同時に、予知夢を見るようになっていたのだ。
その夢もこんな真っ暗な夜だった。
辺りには、誰もいない。彼女たちを除いて・・・・・
何とか化け物と戦うが、一歩およばず、冬は侵食されてしまう。
挙句の果て、冬は自らの命を引き換えにこの化け物を封印する事を決意する。
それは、彼女たちの反対を大いに受けたが、今はそれしか方法が無かったのだ。
そして、彼女の一人が泣きながらナイフを冬の胸に突き刺す。
「愛している・・・・・」
ただその言葉を言って・・・・・・・
不思議に、後悔は無い。
この命で救えるなら喜んで投げ捨てた。
もう、死期が見えている。
迷う事は無い。
あとは、
死ぬだけ・・・・・・・・
死ぬのは怖くない。
もう、終わった命。
このまま生きていても何も徳は無い。
ならば、いっそのことこのまま尽きてしまったほうが良いのではないだろうか?
冬「ハハハハ・・・・・・僕の人生は17年間と決まっていたのか・・・・」
不思議に冬には涙が無かった。いや、涙を流すまでも無いほどに心が疲れ切っていたのだ。
音葉「そんな・・・・ひどすぎる・・・・一人の命を犠牲にして平和をとるの?」
嘆いてみるが事実からは逃げれない。
琴璃「そういえば前、京子さんから、神谷家と神楽家のなかはすごく悪かったって・・・・」
ソフィ「そのときも、冬さんを殺す、殺さないでもめていて・・・・ついに仲に亀裂が入ってしまったのでしょうね・・・・・・」
そう、いまでは家族ぐるみの関係な二つの家もかつて・・・300年前は仲が悪かったらしい。鬼海のせいで仲の悪くなったといわれていたが、どうも話の筋としては合いにくいのだ。しかし、冬が犠牲になって取り戻した平和なら分からなくも無い。一人の命を犠牲にした平和が本当に平和かどうかか分からないのだ。
しかし、それが平和だとしたら悲しいものだろう。
クリス「・・・んな・・・・そんな・・・・・」
トボトボ、クリスが冬に近づく。彼女は精神が放心したようにぼーとしていった。
クリス「ねえ、ふ〜くん、そんなの違うって言ってよ。これは嘘でしょ?・・・・・ねえ?」
クリスの目には涙がこぼれている。こぼれるというか、一筋の涙が切れずに流れ続けている。
冬「ごめん・・・・ここで嘘を言っても慰めにならないよ。」
冬は自由が利かないのか、少しも動けない。
クリス「うっ・・・・・なんで?なんで?ふ〜くんなの?ふ〜くんは悪くないよ?」
ソフィ「お姉ちゃん・・・・・」
音葉「クリス・・・・」
琴璃「クリスさん・・・・・・・・」
冬「悪くないか・・・・・いや、僕は大悪党かもしれないね・・・・・」
クリス「そんなこと無い!そんなこと・・・・・・」
首を振ってクリスは否定をする。つややかな髪の毛が月夜に照らされてとても美しい。
音葉「そうだよ!!冬は悪くない!!ねえ、一緒に戦おうよ!!」
知らずのうちに音葉にも涙が浮かぶ。
冬「・・・・・ぐっ・・・・・もう限界みたいだ・・・・早く止めを!」
誰も止めをさせる者はいない、その場から動けない。
クリス「・・・・・・・・・」
シャキン!!
クリスは服の中から最後の2本のナイフを取り出して構える。
ソフィ「お姉ちゃん?」
音葉「クリス・・・・・」
琴璃「クリスさん?・・・」
クリス「ふ〜くん・・・・・愛してるよ・・・・・・」
音葉「やめて!クリス・・・・・殺しちゃったら・・・・何にもならないよ・・・・!!」
クリス「でも・・・・・でも・・・・こんなに苦しんでいるふ〜くんを見たくない!!」
音葉「私も見たくない・・・・でも、殺すのは間違ってる・・・・」
クリス「じゃあ、どうやって鬼海を倒すの??いままで倒せなかったのに私たちがかなうはずが無い!!」
音葉「バカッ!!」
バチッ!!
音葉のビンタがクリスに当たる。ビンタした方の音葉のほうが泣いている。
音葉「人間は・・・・そんなに・・・弱い生き物なの・・・・・」
うつむいて握りこぶしをつくる。
自分だって、鬼海に勝てる方法は分からない。でも、鬼海を倒すために冬を犠牲にするのは間違っている。
クリス「うっ・・・・わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
今まで押し殺していた感情が噴出してしまった。
音葉「ばか!敵に弱いところを見せるな!!」
こういう音葉の声も震えている。
クリス「音葉・・・・・・ごめん・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・」
音葉とクリスは抱きつく。
音葉「どうにかして冬を助けよう・・・・・・・・・・・」
クリス「わぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁ!!!」
感情を表に出して泣いた。
自分はなんて酷いことをしたのだろう・・・・・
自分の好きな人をこの手で殺そうとしたのだ。
たとえ、それが相手が望んだ事でも許される事ではない。
そう思うと体が震え始めた。
立っていられなくなって、その場に倒れこんでしまう。
音葉「大丈夫・・・・・なんとかなる・・・・・・・」
しかし、その言葉にも自信は無い。でも、こうしないと自分もこの感情に押しつぶされてしまうのだ。



しばらくの間泣き続けた。
クリス「音葉・・・・ありがとう・・・・」
そういってまたナイフを持つ。
音葉「クリス?!」
クリス「・・・・・一緒にふ〜くんを助けよう・・・・・」
音葉「・・・・・・」
クリスはおぼつかない足取りで冬のもとに寄っていく。
クリス「私のことは恨んでいいよ・・・・そのかわり・・・・音葉のことは恨まないでね・・・」
優しく話した後クリスは目をつぶる。
チュッ・・・・・・・・・
クリスは静かに冬の唇と自分の唇を合わせる。
回りの時間が止まったように2人は静寂の中に包まれる。
このとき、二人は始めて実感した。
冬は、クリスを愛している事を―――――
クリスは、冬を愛している事を―――――
お互いこのときに自分の気持ちを知ってしまったのだ。
お互いの唇の柔らかさを確かめるように、ゆっくりと長いキスをする。
冬は驚くほど冷たかったが、しっかりとクリスに答えてくれた。
冬の目にも少しだけ涙がたまり、こぼれる。
それは、冬の頬からクリスの頬に伝っていった。
冬は後悔してしまった。
さっきまでこの世の中のためならば死ねる。そう思っていた。
しかし、今は生き延びたい。そう気持ちに変わってしまったのだ。
自分が許せない。
自分が憎い。
自分の愛した人さえも守れないことに・・・・・
生きたい・・・・・
生き延びたい・・・・
2人で生き延びたい・・・・・
そう思うと自分の意識の奥のほうから少しずつ力がわいてくる。
冬(馬鹿・・・・・だな・・・・)
クリス(馬鹿でいいの・・・・・・)
ふたりは、心の中で語り合った。
口数は少なかった。
でも、2人にはそれで十分だった。
後は何もいらない・・・・・
ドスッ!
クリスは冬に手投げナイフをさす。
真っ赤な血がじわじわとこぼれ始める。クリスの手は冬の血で真っ赤に染まる。
冬「ぐ・・・・・・・」
クリスはその刺したナイフを抜き取る。すると、冬の体内からドロドロの鬼海が少し出てくる。
クリス「お前さえいなければ・・・・・・お前さえ!!!」
ジュリュ!ジュシュ!!!!
クリスはドロドロの鬼海を引き抜こうとする。
冬はその痛みで体をバタつかせる。
ソフィ「お姉ちゃん・・・・・・音葉さん、琴璃さん。」
ソフィと音葉、琴璃は目で合図をしてクリスに駆け寄る。
ソフィ「ん〜・・・・・・」
音葉「冬・・・・あともうちょっとだからがんばって!」
琴璃「がんばってください!」
なんと彼女たちは冬の中に入った鬼海を出そうとがんばっている。
クリス「ふ〜くん・・・・・一緒に・・・・生きよう・・・」
冬の心にクリスの言葉が満ちる。すると、冬は力を込め始める。
冬「負けられない!・・・・・負けちゃいけない!!!!」
どんどん鬼海が外に出されている。鬼海も必死に冬の体に取り付こうとするが、体の中から追い出されてはそれ相応の力がいる。
鬼海「なに・・・・・奴の気力が上がっている・・・・・!!」
ドウ!ドウ!ドウ!
冬は今まで感じたことの無い心臓の鼓動を感じていた。破裂しそうな勢いのある心臓はそのまま脳へある命令を言い続ける。
「あいつを倒せ。」
と。
冬「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
冬がこれまで無いような力を振り絞り、鬼海を外に放出する。
クリス「やった・・・・・・」
冬「・・・・・さあ、第2章だ・・・・・これでけりを着けるぞ、化け物め。」
鬼海はだんだんまとまり始めて、3メートルぐらいの大男と化していた。
ここにいる冬はもう皆の知っている冬とは違う。
殺せ、殺せ、殺せ、殺せ!!!!
ただ、その思考だけが冬の頭を駆け巡る。
冬の体の感覚神経は麻痺を起こしてしまって痛みさえ感じなくなっていた。
冬「これは、俺から皆へのプレゼントだ。」
そういって、彼女たち肩に触れる。
すると、彼女たちに霊力が一気に送られていくのがわかる。
琴璃「すごい・・・・・回復だけ無くて・・・・増えています。」
音葉「でも・・・冬には霊力は無いはず・・・・・」
冬「1は有の者、有の存在そして有限の世界。0は無の者、無の存在そして無限の世界。」
有るということは限りなく続いている。しかし何かが有る以上限りもあるのだ。始まりがあれば終わりもある。しかし、無いという事は始まりのないし、終わりも無い。だから無限の可能性がある。」
冬「俺の体には霊力をためておく器など無いんだ・・・だから霊力が無いんだよ。」
そう、水道の水をいくら多く出してもコップが無ければどれだけ出ていたのかが分からない。出てもすぐになくなる。それが冬の霊力の正体だった。
音葉「すごい・・・・・どんどん霊力が上がっていく・・・・・・」
冬「俺が足を止める。合図するからそしたら攻撃してくれ。」
ダダダダダ・・・・・・
鬼海「なに!?私がおびえているだと!!認めん!私は最強のなる者。こんなところでくらばるわけにはいかん!!!」
冬「La maniere s'il n'y a aucun jour ou... deja elle se reunit sera probablement.
」【さようなら・・・もう会う日は無いでしょう。】
ザシュ!!!
冬の振りかざした刀は足をきれいに吹き飛ばす。
冬「いまだ!!」
クリス&ソフィ「はい!」
ドゥゥゥン!
2人がハンドガンを撃つ。
弾はマンホールぐらいの大きさになり鬼海の両肩を吹き飛ばす。
鬼海「なに!!!!」
音葉&琴璃「行きます!」
ザシュ!
二人の刀の攻撃は鬼海をクロスにぶった切る。
琴璃&ソフィ「あとはお願い!」
冬&クリス「Extremite !」【最後!】
冬は刀ぐらいの長さのナイフを投げ、クリスもありったけのナイフを投げ続ける。
ドス!ドスドスドス!!!!
ナイフは前進を貫き、鬼海はだんだん消えていく。
音葉「やった・・・・・本当に倒した・・・・・・」
琴璃「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・」
ソフィ「終わったのですね・・・・・・・・」
クリス「ふう・・・・・・・・・」
今度こそ終わったのだ、時間にすれば1時間ちょっとだったのだが、2時間も4時間も感じる長い戦いだった。
京子「皆さん〜大丈夫ですか?」
いタイミングよく京子たちが現れる。
音葉「京子さん・・・・そちらも終わったのですか?」
紺「はい、終わりました・・・・・」
ソフィ「よかった・・・・・・」
エミカ「やはり・・・・強かったよ・・・・・」
皆ボロボロである。血を流していない者は誰一人いない。
クリス「ふ〜くん?!」
いきなりクリスが叫ぶ。
紺「ふ〜くん?」
音葉「あ、一緒に戦ってくれた「冬」です。」
紺「まさか・・・・・・」
皆が冬の元に寄ってくる。
冬「あ、あの時はどうも・・・・・」
紺「やはり・・・・神の化身・・・冬様でしたか・・・・・」
京子「完全に記憶を消せなかったようですね・・・・・・・・・」
エミカ「えと・・・私は300年ぶりですか?」
冬「そうですね・・・・・300年ぶりになりますね・・・・」
紺「冬様がいるということは・・・・鬼海を本当に倒せたのですね。」
冬「はい、やっと1000年続いていた戦いに決着が付きました・・・・」
皆に安堵の表情が見える。
クリス「あれ・・・・ふ〜くん・・・・透けている・・・」
音葉「本当だ・・・・・なんで?」
冬の体がだんだん透けていく。
冬「お迎えが来たようだね・・・・・」
クリス「お迎えって??」
紺「この冬様は鬼海を倒すために生まれてきた存在。役目が終われば消えてしまうのも道理です。」
クリス「消える・・・・って?」
紺「存在がなくなる。という事です。」
クリス「そんな・・・・・やっとゆっくりできるようになったのに・・・・」
京子「クリスさんには酷かもしれませんが、存在の無くなる者は、最初からいなかった存在になるのですよ。」
冬「京子さん、紺さん、そんな悲しい話をしないでよ・・・・・やっと鬼海を倒せたのですから・・・・・」
そういうが、だんだん姿は薄くなっていく。
クリス「やだ・・・・消えないで・・・・・やっと分かり合った仲じゃない・・・・」
琴璃&ソフィ「・・・・・・・・」
だれも、言い返すことはできなかった。いや、言い返してもクリスの耳には届かない。
音葉「冬のうそつき!!もう心配は無いんじゃないの?・・・・・・行かないでよ・・・」
もう冬は後ろの景色がはっきり見えるぐらいに薄くなっていた。
冬「ごめん・・・・約束・・・・まも・・・・・・」
パァァァァ・・・・・・・
冬は淡い光になって消えてしまった。
クリス&音葉「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
クリスは吼えた。声がかれるくらい。
音葉も泣いた・・・・こんなに泣いたのは久しぶりだ。
のどから血の味がしても泣き続け、大声を出す。
紺「・・・・・・たとえ、平和を取り戻しても、誰かの犠牲はいるのでしょうか・・・・」
倒す悪は倒したが、重い空気を背負ったまま皆は自分の家に帰った。





―月曜日―
クリス「・・・・・・・・」
いつもと変わらない学校。
ソフィ「・・・・・・・・」
いつもと変わらない教室。
音葉「・・・・・・・・・」
琴璃「・・・・・・・・・」
そう、ただ一つ除いて何も変わらない。
前、冬のいた席には違う子のかばんが置かれている。
あと、30秒というのに冬は来ない。いや、これないのだ。
・・・・・・・もう、存在が無いから・・・・・
いつも学校では元気な4人も、かなり落ち込んでいる。
キーンコーンカーンコーン・・・・・・
むなしく呼び鈴は鳴ってしまう。
先生「おい、室長!」
室長「きりつ!」
あまり聞きなれない声がする。今まで副室長をやっていたこが室長をやっている。
室長「おはようございます。」
みんな、戸惑うことなく挨拶をする。これが皆の通常なのだ。
先生「今日は連絡が沢山あるからな・・・・・」
いつもと変わらない学校。
時間という歯車は今も正確に回っている。
冬という歯車が取れても本体の歯車は何も狂わない。
世界は残酷だ。
いつ誰かが消えても、気づいてくれる人はいない。
いや、気づかなかったほうが良かったのかもしれない。
4人とも心にぽっかりと穴の開いた状態になってしまった。
それをふさごうとがんばっては見たが穴は大きすぎて深く、時間がかかる。
いままで鉄の様に硬いと思っていた自分の心がシャボンだなの様に壊れやすいことを知る。
誰かが触れるだけで壊れてしまう。そんな弱い存在・・・・・
先生「じゃあ、今日の重大な連絡〜」
先生の声が全然入らない。
集中ができないのだ。
先生「こんな時期だけど転校生がやってくることになった。・・・・おい、入っていいぞ。」
カツカツカツ・・・・・・
その姿を見て心臓が熱くなる。
ドクン―
体が熱い。
???「『永月 冬』です。短い間ですが、よろしくお願いします。」
そんな馬鹿な。
あの人は消えたはず。
ドクン―
頭が働かない。
いまにも駆け出して行きたい。
ドクン―
からだが言う事を聞かない
今起きた事に寒気が走る。
ド・ク・ン
戦いの記憶がよみがえる。

クリス「・・・んな・・・・そんな・・・・・」

音葉「あの人は・・・・・もういないはず・・・・・・」

走馬灯の様に思い出が出てきた。
つい最近起きた事なのに、ひどく懐かしい。
ガタッ!!
冬がバランスを崩して倒れる。
先生「おい、大丈夫か?・・・・・保健委員!保健室へ運んでやれ!」
え?保健委員?・・・・それって私のこと?
思考が定まらない。
ソフィ「お姉ちゃん!」
ソフィの言葉で我に返る。
クリス「あ、はい!」
クリスはあわてて冬の元に駆け寄って肩を貸す。
冬「すみません・・・・・ちょっと貧血気味で・・・・」
先生「おお、クリス、保健室まで頼むな。」
クリス「・・・・・あの・・・・・・・」
おそるおそる、クリスは冬に聞いてみる。
冬「なんですか?」
どこと無く他人行儀の言葉。何か嫌な予感がする。
クリス「・・・・・・・・・」
ドクン
ドクン
ドクン
熱い・・・
体中が熱い・・・・・
火傷しそうだった。
喋りたいが、唇が重い。
クリス「・・・・・ふ〜・・・・」
声が震えて思うように喋れない。
冬「?」
かわって、冬は何も感じていないようだ。
他の3人も心配そうにその光景を見つめる。
クリス「ふ〜くん?・・・・・・」
小さな声で喋った。
いまはこれしか言えなかった。ひどく緊張しているのが自分でも分かる。
冬には聞こえるが後の者は聞き取れないほどの声で。
冬「・・・・え?誰ですか?それ?」
あたりが真っ暗になる。
スーッと頭の血が引いていくのが分かった。
「誰ですか?それ?」
「ダレデスカ・・・・ソレ・・・・」
記憶が無い?
うそ・・・・・・
あなたはふ〜くんじゃないの?
貴方はだれ?
ふ〜くんだよね?
ふ〜くん・・・・・
「え?誰ですか?それ?」
心が苦しい。
息ができない・・・・
物事を考えられない。

















・・・・・・・・・・
分かっていた。分かりきった事だ。
冬は消えた。その穴を埋めるために代わりの冬がやってきた。
それだけだ。
後は何も変わらない。
そう、何も変わってない・・・・・・・・

クリス「いえ、なんでもないです・・・・・保健室に行きましょう・・・・」
クリスはうつむいて喋った。まるで、貧血を起こしたように頭がぐらぐらする。床には一滴の涙がこぼれる。
本当は大声で泣きたかった。
冬は帰ってきた。
でも、私の知っている冬じゃない。
冬、という存在は消えてしまった。
涙が止まらない。
でも、こぼしてはいけない。
心配そうに見ていた3人もクリス表情を悟ったのか、お互い陰で泣きあった。
琴璃「・・・・・お姉ちゃん・・・・・・」
音葉「わかってる・・・・・・冬は・・・・・目の前で・・・・・」
ソフィ「・・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・・・うっ・・・・・」
音葉「だめ・・・・もう、わかっていた事・・・・・も、もう泣く事・・・なんか・・・じゃ・・・・ない・・・の・・・に・・・」
ガタッ!!
音葉はトイレに駆け込んだ。
先生「あ、おい!音葉?」
先生も戸惑ってしまっている。
涙は見せてはいけない。あの戦いの後4人はそう決めた。
しかし、体は言う事を聞いてくれない。
目にはもう涙が止まらない。
くやしい・・・・・
冬は帰ってきた・・・・・
でも・・・・・・
冬じゃない・・・・・
くやしい・・・・くやしい・・・・くやしい・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
クリス「ここの廊下を左にいって突き当たるとそこが保健室です。」
朝早いのにもうクリスは疲れてしまった。
パシツ!
冬がいきなり肩につかまった手を振り解いて、中庭に引き入れる。
クリス「あの・・・・こっちじゃないですよ。」
戸惑うが男の力ではどうにもできない。
冬「分かってるよ。」
クリス「・・・・・・・・・」
この人はふ〜くんじゃない。
でも・・・・あきらめきれない・・・・・・
ふ〜くんであってふ〜くんでない。
このまま、引っ張られていたい。
でも、彼は消えてしまった。
いまの彼は何を考えているのだろう・・・・・
冬「ふう・・・このくらいならいいかな?」
クリス「え?・・・・・」
中庭の端っこに来ていた。
冬「・・・・・・・・・・」
クリス「・・・・・・・・・・」
2人は見詰め合ったまま動かない。
お互い心苦しい。
クリスはなおさらだった。
この人は知っている。
この顔、その仕草。その体型。
でも、この人は別物。
別の生き物。
別の人。
冬「・・・・・・・クリちゃん・・・・・ただいま。」
ザァァァァァ・・・・・・・
心地よい風が引きあがる。
ザアアアアアア・・・・・・・・
時が止まったように静かになった。
クリスの自慢の髪の毛がそよそよとなびく。
あたりの声、音が聞こえなくなる。
クリス「え?・・・・・・・・」
一瞬言っている事が分からない。
クリ・・・・・・ちゃん?
あ、私のあだ名だ・・・・・・
懐かしいな・・・・・その台詞。
いつ聞いたっけ・・・・
思い出せない。
大切な記憶なのに・・・・・・
ふ〜くん・・・・
あ、ふ〜くんが言っていたんだ・・・・
ふ〜くんしか、言ってなかった・・・・
ふ〜くんがここにいる?
え?
ふ〜くんがここに・・・・・いる?
冬「はは・・・・・神様に返されちゃった・・・・・」
頭をポリポリかく姿はまさしく冬だった。
クリス「・・・・・・・・・」
うつむいて黙ってしまう。
冬「あれ?・・・・・どうしたの?」
頭をかく手を止める。
クリス「・・・・・か・・・・・ばか!・・・ばかばかばかばか・・・・・!!」
冬を押し倒して泣きじゃくる。
冬「ごめん・・・・・あまり皆に知られると歴史が変わるからね・・・・」
クリス「ばかばかばかばか!!・・・・・ふ〜くんなんてばか!」
そういいながら背中に手をまわしてギュっと抱きしめる。
冬「いつつ・・・・・あばら折れいるんだから・・・・もっと丁寧に・・・・」
クリス「うるさい!・・・・・もう、しんじゃえ!・・・・・」
制服は涙でびしょびしょだった。
制服に顔を押し付け、手は胸にトントン当てる。
冬「もう・・・死にたくないな・・・・・」
クリスの顔を引き離し、まっすくクリスを見る
クリス「うう・・・・・・」
冬「君を置いていけない・・・・・・・」
ギュ・・・と冬も抱きしめる。
クリス「大好き!もう、好き好き!・・・・」
もう、クリスの思考は何も働かなくなっていた。
冬「こら・・・・そんな大声で・・・・・」
テレながら、冬も抱きしめ続ける。
クリス「ねえ、私に言うことあるんじゃないの?」
悪戯っぽく、冬に問いかける。
声は震えていて目は涙で脹れている。
冬「・・・・・・・・・うん・・・・・・・」
ふう、と息を吐いてクリスを見つめる。


―――大好きだよ―――

―――いつまでも、愛してる―――

―――この手はもう離さない。――――

いつも、一緒だよ――――――

そう、いつも――――

何があっても――・・・・・・

こうしてまた歯車は回り続ける。
ずっと・・・いつまでも、
そう、2人の光が消えないまで・・・・・・
二つの光が今度は一つなったのだ。

冬「ごめん・・・・・今度は音葉を呼んでくれないかな・・・・本当はクリスだけにしておきたかったんだけど・・・・あんなんじゃ・・・・」
クリス「うん・・・・分かった・・・・でも、音葉にはふ〜くんをとらせないからね!!」
クルリと回って、駆け出していった。シャンプーの匂いがかすかにした。
ザァァァァァァァ・・・・・・・
今日は風が強い。
でも不思議に寒くは無かった。
一度死んだ・・・・・でも、気がついたらあそこに倒れていた。
傷も無い。何もかも無かったようになっている。
でも、あばらの骨折はそのままだった。
なぜ、生き返れたのだろう・・・・・・
もう、これで転生できないから?
それでも、冬という存在はもういない存在のはずだ。たとえ冬という人間がいても冬という存在は消えてしまっているはずだ。
この存在は、冬という体を借りているだけに過ぎない。
借りた物は返さないといけない。
なぜか、僕はよみがえった。
音葉「あの・・・・・クリスに言われてきたのですが・・・・・」
気がつくと音葉が横に立っていた。
隠しているのだろうが、目には涙がたまっている。
冬「・・・・・・・」
冬は一度深呼吸をする。
音葉「・・・・・・・・・」
じっと見つめている。
冬「ありがとな・・・あの時にクリスを説得してくれて・・・・・そうじゃなかったら僕は鬼海と一緒に封印されていたよ・・・・・」
音葉「え・・・・・・」
冬「・・・・・ただいま・・・音葉。」
音葉「・・・・・冬なの・・・・・?」
冬「うん・・・・・あの時の冬だよ・・・・」
音葉「わぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・」
音葉も冬に飛び込んできた。
冬「そんな大声で・・・・・・」
音葉「本当だよね?嘘じゃないよね?」
冬える声でクリスに話しかける。冬はゆっくりと音葉を座らせて自分も座る。
冬「やめて!クリス・・・・・殺しちゃったら・・・・何にもならないよ・・・・!!・・・だっけ?」
音葉「わぁぁぁっぁぁぁぁん!!」
冬の言った言葉はクリスを説得するときに言った台詞だった。音葉も良く覚えている。
冬「よしよし・・・・・そんなに泣かなくてもいいよ・・・」
音葉「だって・・・・だって・・・・・うれしいんだもん・・・・」
音葉が大胆にも懐に飛び込んできた。
ゴチ!
冬は背にした壁に頭をぶつける。
冬「いてっ!」
音葉「ん・・・・・」
チュ・・・・・
またもや、唇をとられてしまった。
チュ・・チュ・・・・ツ・・・・・
2人の粘膜が音を立てる。
恥ずかしかったが音葉が話してくれなかった。
冬「・・・・・んん・・・・・・」
音葉「だめ・・・・逃げちゃ・・・・・・」
後ろは壁、そしてのしかかるように音葉がいるので動きようが無い。
冬「・・・・・強引なんだから・・・・・・」
あまり、息をさせてもらえなかったので、ハァハァ息が漏れている。
音葉「ごめん・・・・・私・・・・クリスにとられたくない・・・」
冬「参ったなぁ・・・・・・」
音葉「ん・・・・・」
チュ・・・・・
チュ・・チュ・・・・ツ・・・・・
二回目のキスをする。
鐘が鳴っても2人はやめなかった。
そう、二人の絆を確かめるように・・・・・・
こうしてまた歯車は回り続ける。
ずっと・・・いつまでも、
そう、前は2人の光が消えないまでといったが、
3人の光だったのだ。この光は時には交じり合いながら、時には反発しあいながら・・・・・
三つの光が次第に一つなっていくのだ。




END