新月(みそかごろ)





○新月(みそかごろ)「宴の前の晩餐会」

ごぉぉぉぉ・・・・・

冷たい風が頬を伝い髪の毛へ抜けていく・・・・

季節は冬で巫女服一枚ではとても耐えられる寒さではなかった。しかし、少女たちは微

動にせずに一点に集中している。しかも、頬から時折汗が流れている。

音葉「・・・・・・」

琴璃「・・・・・来るよ!」

ガタッ!

何も無いところで物がへこんでいる。そしてひとりでにベンチ、ゴミ箱がくしゃくしゃ

になってしまった。

音葉「ずいぶん暴れるじゃない・・・・・それなら手加減はしてあげないよ!」

琴璃「はい、これ・・・・・」

そういって琴璃は音葉にボウガンらしき物を渡す。それには派手とは言わないもののか

なりの装飾が施されており、一般に見かけるような冷たい鉄のボウガンではなかった。

ゴォォォォ・・・・・
この地方独特の秋から冬にかけて吹く突風「伊吹おろし」がものすごい強さで吹き付け る。ここから離れたところには伊吹山という少し高めの山があり、そこから生み出され たかぜは季節風や気圧の関係でこの地方に独特な風を吹かせるのだ。 ゴォォォォ・・・・・ キ・・・・キシャァァァァァ・・・・ 風に音に混ざり微かに何かが叫ぶ音がする。それは人間や動物でもない聞きなれない声 だった。しかし、ここの二人にはこの声に聴き覚えがあった。いつも夜・・・・深夜に なるとこの声の主と戦わなくてはならないのだ。 プシュッ! 音葉はその声のあった方向にボウガンを打ち込む。そのボウガンの矢は銀色に光ってい て何かグロテスクなものを感じる。そしてそれは空中で止まりものすごい雄叫びととも にゆっくり落ちていく。 ギヤァァァァァァ・・・・・ ズドォォォン! 琴璃「ふう、終わりですね。」 彼女たちの目には、狼男の心臓にボウガンの矢が刺さっている光景が映し出されている。 しかし、周りからは狼男もボウガンの矢も見えないのだ。しかも、この存在は一般には 知られていない。だから、このことを知っているのはごく限られた人になる。 狼男「ぐぬぬぬぬ・・・・神の使いめぇ・・・・私を開放しろ・・・・・」 狼男は初めて人間の言葉を口にする。しかも人間の言葉が話せるようだ。 音葉「あなたたちのような悪霊がいると私たち生きているものや善霊が安心して暮らせ    ないの、わかる?」 狼男「我は・・・ただ復習がしたいだけなのだ・・・・それが終われば私は何もしない。」 琴璃「あなたはそういって関係ない人まで傷つけているのですよ、復習なんかやめてく    ださい。」 狼男「お前たちには分からん事だ・・・・・早くこの矢を抜け・・・さもないと・・・」 自分が劣勢なのに、態度だけはでかい。 音葉「問答無用!しっている?この矢はねあなたたちの魂を封じ込める事ができるの。 だからあと2〜3発放てばあなた は消滅するのよ。」 琴璃「このまま成仏してくれますなら、消滅にはしませんよ。」 狼男「誰が貴様ら人間の力を借りるものか・・・・ウォォォォォ・・・・」 そういうと狼男は毛を逆立て、筋肉を盛り上げて立ち上がりだした。 狼男「リミッター解除。お前たちを排除する・・・・・」 口からはヨダレがダラダラこぼれ、目は充血し体からはまがまがしいオーラが出ている。 まるで別人のようだ。 琴璃「第二形態に移行、目標の投降の余地なしとして排除に移ります。」 音葉「了解。琴璃、武器をちょうだい。」 今度は両手にハンドガンを持つ。これも少しだけ普通の銃と違っている。 ドガガガガ!!! 近くにあったジャングルジムがくしゃくしゃに折れ曲がってしまった。辺りは地面が 深くえぐれ、木々の葉っぱは飛び、さっきまで強烈に吹いていた風はぴたりと止まって しまった。 狼男「グルルルルルル・・・・」 音葉と狼男はお互いの間合い一歩手まで威嚇をしあう。下手に踏み込めばどちらも一瞬 で肉片と化してしまう。お互いじりじり近づく事しかできないでいた。 音葉「・・・・・ハッァァァァァ!」 音葉は気を集中する。すると音葉からオーラのようなものが出てバチバチとほとばしる。 ドウッ!ドウッ! 最初に手を出したのは音葉の方だった。両手の拳銃から出た玉はまばゆい光を出して一 直線に飛んでいった。 ドォォォォン!!! 琴璃「初弾および第二射、命中せず。敵のダメージはなし。」 音葉「わかっている。久々だからタイミング間違えただけ!」 弾があったったところは半径1Mぐらいの大きな穴ができていて、弾が走った地面はえ ぐれて地面が見えていた。 狼男「ガルルルル・・・・」 狼男がその鋭い牙を音葉に向けながら走ってきた。 ドウッ!・・・・ 肉同士がぶつかる音がして音葉と狼男が重なる。 音葉「クッ・・・・・・やるね・・・・・」 狼男「ガルル・・・・・・・・・」\ 地面に真っ赤な血が音葉の足を伝いぽたぽたこぼれる。 音葉「でも残念ね・・・・私のお肉はあげないよ・・・・」 実は狼男が銜えていたものは音葉の肉ではなくて音葉の持っている拳銃だった。とっさ に拳銃を盾として使ってわざと噛ませていたのだ。 音葉「迷える魂よ、土に帰れ!!」 ズガァン! 音葉が引き金を引いた瞬間、狼男の顔はきれいに吹っ飛んでいた。そして体もだんだん 薄くなって消えていった 琴璃「おわりましたね・・・・・」 音葉「あ〜〜〜おでこから血が出てる・・・・・あんな雑魚に食らうとは・・・・」 琴璃「お姉さん油断しすぎですよ〜もうちょっと緊張してやっていれば怪我なんかしな    かったです。」 音葉「う〜〜そんな事いったって・・・・まあ、勝てたのだから結果オーライだよっ!」 ピースサインをしてポーズをとる。 琴璃「とりあえず早く帰ってそのおでこ治療しましょうね。結構切れているようだから    ・・・」 音葉「だね・・・・・」 音葉(雑魚とはいえ今までとは比べ物にならない強さだった・・・これから・・・何か ありそうね・・・・) 音葉は不安を残して琴璃とともに公園を後にした。 ・・・・・・ ・・・・・・ ―自宅― ここはこの稲沢市でも大きな神社に入る「国府宮神社」で、またの名を「尾張大國霊神 社」といって尾張地方の神社の総本山として建てられたのだ。しかも歴史も古く、大和 朝廷時代にここに国府(昔、地方を治めるために設けられた市役所みたいな建物)が置 かれていたこともあり、昔は重要点として栄えていた。年に一回「裸祭り」をしていて 有名であった。 音葉「いててて・・・・もうちょっとやさしくやってよ〜」 琴璃「やさしくやってるよ〜消毒ぐらいは我慢してね。」 そういって消毒の付いたガーゼをおでこの傷口に当てる。 音葉「ぐっっ・・・・・」 たまらず音葉は琴璃の袖を持ってバタバタする。 琴璃「・・・・でも、無理しないでくださいね・・・・私たちが唯一悪霊と闘える者な    のですから・・・・」 音葉「だね・・・・・」 京子「あら・・・帰っていたのですね。」 ふすまがスーッと開いて廊下から使い魔の京子が現れた。この時代で白い割烹着(かっ ぽうぎ)姿で年は20〜25位で頭から狐のような耳が出ていた。神社ならたいてい一 人以上使い魔がいて、その主人の代わりに家事とか身の回りのことをするのが一般的な のだ。 音葉「あ、ただいま〜」 琴璃「ただいまです。」 京子「あらあら、少し手間取っていたようですね・・・・大きな傷が・・・」 京子は耳をピクピクさせながら話をする。本人にいう話では感情が高まると無意識に動 かしてしまうらしい。 音葉「京子さん。お風呂ってまだあるかな?」 京子「はい、まだお湯ありますよ。それならお湯をまた沸かしましょうか?」 音葉「いえいえ、そんなことまでやらせる訳には・・・・」 琴璃「ですよ。もう夜中の3時ですから・・・・京子さんは休んでいてくださいよ・・    明日もお仕事があるのですから〜。」 手を振って京子の行動を制止する。 京子「じゃあ・・・・一緒に入ろうか?」 いきなり突拍子もないことを言う。音葉はその場でこけて、琴璃は口がふさがらない。 京子「ふふふ・・・・いい反応ですね。じゃあお風呂沸かしてきますね〜」 スー・・・・パタン・・・ 静かにふすまが閉まり京子が出て行ってしまった。 音葉「う〜京子さんは突然わけ分からないことをいうからなぁ・・・・・」 いくら身内とはいえ、もう二人は高校3年生であり身体についてはいろいろな問題の出 てくる年頃であった。 琴璃「でも・・・・いいなぁ・・・」 琴璃は自分の胸をみてため息をつく。まあ、無いといえば嘘になるが年齢に対してはあ まりにも小さいのだ。 音葉「・・・・・・それをいっちゃぁ・・・・・」 同じ体を持っている音葉は同じ悩みを抱えているのも事実だった。 琴璃「そういえば、京子さんっていつからこの神社にいるのかな?私の生まれる前には    いたよね?」 音葉「そうだね〜たしか、おばあちゃんの小さいころにもいたようなことを言ってたか    ら・・・・」 琴璃「まさか、あの顔で100歳いっているのかな?」 音葉「それは無いと・・・・いあ、使い魔や幽霊の類は年をとらないって聞いたか    ら・・・・・。」 琴璃「たしか、あの夏樹(なつき)様もあの姿で1000歳はいってるって言ってい    たから・・・・」 音葉「ひえぇぇぇぇぇ・・・・幽霊って怖いなぁ!」 夏樹様はここの神社の神様で、この神社ができたと同時に現れたとされていて、いわ ゆるここの神社の主なのだ。しかし、その生きている年月にかかわらず夏樹さまは外 見5〜6ぐらいとかなりの幼児体型なのだ。しかもしゃべり方とか振舞い方も幼い子 に似ているので本当に1000年間生きているのか疑問に思ってしまうこともしばし ばあった。 夏樹「ん?なにかいった?」 ちょこんとふすまから顔だけ出して夏樹がこちらを見ていた。もともと実体の無いの で壁をするすり抜けることもできる のだ。 音葉「おはっ!なんで夏樹様がこんなところに?」 京子「騒がしかったから起きちゃったようです。」 琴璃「あらら・・ごめんなさい。」 夏樹「ううん。きにしてないよ。」 音葉「京子さん、お風呂って・・・・」 京子「はい、炊き上がりましたよ。今がちょうどいい湯加減です。」 琴璃「ありがとうございます。」 音葉「じゃあ、ちょっと入ってるね。」 京子「わかりました〜」 琴璃「ゆっくり〜」 夏樹「ん。」 ・・・・・・・ ・・・・・・・ ―お風呂場― 音葉「ふう〜やっと体についた血を流せるよ・・・・」 京子「お湯加減どうですか?」 外から京子の声がする。このお風呂まきでお湯を沸かすという今では珍しいお風呂だっ た。最新式のお風呂に直すことも考えたのだが、神社の収入源は税金と参拝者のお賽銭 なので私欲に使うのはどうしても 気が引けて使えないのだ。 音葉「ばっちりです〜」 京子「よかった・・・でも、今日の相手は苦戦したようですね・・・・そんな目立つ怪    我なんて久しぶりじゃないですか?」 音葉「分かりますか?」 京子「分かりますよ、私は音葉さんがおなかにいるときから知っていますし、使い魔と    はいえ霊の一種ですから今の異様な感じはわかります。」 最近外で感じるいやな妖気は気のせいではなかったみたいだ。しかし、ここ最近不気味 な妖気を頻繁に感じようになっ たのだ。 音葉「何が起きているのでしょうか・・・・・・」 京子「あまり考えたくないでですが・・・・霊の親玉が現れた感じとよく似ているんで    す。」 音葉「霊の親玉?」 京子「はい、代表的な例で言うと鬼族や悪魔族で言うサタンでしょうか・・・そういっ    た霊たちは単独では行動せずにほかの霊を使役してまるで霊たちの軍団を組織す    るのです。」 音葉「何のために・・・・?」 京子「悪霊というものは人の憎しみや恨みが集まってできるのは知ってますね?」 音葉「うん。それは誰もが持っていて、死んだときに出てきたその恨みや憎しみが一箇    所に集まって悪霊になるのでしょ?」 京子「そうです。彼らの欲望は自分のしたいことをやること。しかも、こういう恨みや    憎しみは破壊衝動や人を殺すことしかないのです。」 音葉「ということは・・・・無差別に人を殺すために・・・・・?」 京子「それだけではありません。彼らは自分の理想とする暴力による全国統一をしよう    と考えるのです。」 音葉「・・・・・でも、一般の人には幽霊は見えないはず・・・・そんな国をのっとる    ぐらいなのに姿が見えないと・・・・・」 京子「私は、なぜ普通の人に見えるのでしょう?」 音葉「そりゃあ、霊子が普通の幽霊より高いから・・・・じゃぁ!」 京子「そう、親玉が付くと必然的に周りの霊の力は上がり一般の人にも見えるようにな    るの。」 音葉「ねえ・・・・・・私たちにはそんなのに勝てるの?」 京子「・・・・・・・貴方たちしだいね・・・・あのときみたいに一緒に戦えた    ら・・・・・」 京子「まあ、親玉はまだ出ていないみたいだから、いまはゆっくり休んで力を蓄えて    ね」 音葉「・・・・うん・・・・」 言いようの無い不安に襲われながらお風呂に体を休めた。 ―翌日―「2005年11月14日(月)」 琴璃「ほら〜お姉ちゃん!今日は学校だよ〜おきてください〜」 音葉「ん・・・・・・ねむい・・・・・後もうちょっと・・・・・」 今は朝の5時。しかも冬なのであたりはまだ暗いし寒い。しかし、この二人が起きるわ けがあったのだ。 琴璃「早くしないと朝の稽古間に合いませんよ〜」 琴璃は強引に布団を取り、音葉をたたき起こす。 音葉「さむっ・・・・・・ねえ、朝の稽古は中止しない?寒いよぉ・・・・・」 床を這うようにして布団を引っ張る。 琴璃「だ〜〜〜〜め!日々心も体も鍛えないと悪霊には勝てません!」 琴璃はすでに巫女服に着替えていて音葉待ちなのだ。稽古は2人居ないとできないこと なのだ。 芋虫のような音葉を押しながら琴璃は神社の奥にある小さな滝に来た。滝といっても地 下水を電動ポンプでくみ出しているだけなのだ。そして2人は毎日この滝に打たれなが ら瞑想しているのだ。  霊や悪霊の霊力は生きているエネルギーそのものなので上げることができないが、人 間、巫女や修行僧などは精神力が霊力に関係して強くなることができるのだ。そして、 その精神力を鍛えるのが我慢をする事が一番いい方法で、滝に打たれるのはそのためな のだ。しかも、今の季節は水温が凍らない一歩手前の±0度なので相当冷たい。 琴璃「はぅぅぅう・・・・・・んん・・・・・」 あまりの冷たさに声が漏れる・別に声を出してはいけないわけではないのだが、声を出 してしまうと滝に打たれる効果が半減してしまう気がするのだ。 音葉「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 音葉は目を瞑り、微動も動かなかった。それは音葉のほうが精神力、つまり霊力が多い 事を示している。同じ姉妹いや同じ遺伝子でも、霊力のつきやすさは人それぞれなのだ、 これは前世とか自分の体質などが関係しているみたいで、一般人でもこの2人より多い 人もいるのだ。 琴璃「・・・・・よく、お姉ちゃんは声を出さなくて耐えられますね。」 音葉「確かに冷たいけど、声を出さないようにすれば出なくなるから・・・・」 しかし、0度の水を30分間も浴びなければならないのだ。無意識にでも声は出てしまう。 音葉「さっ・・・・びぃぃぃ・・・・・」 滝から出てすぐに音葉はものすごい震えが襲う。まるでトランポリンの上にいるかのよ うにゆらゆらゆれている。 琴璃「さ・・・早く部屋に戻ろう・・・・・・」 京子「あ、2人とも・・・おはようございます。稽古終わったの?」 音葉「服みて分かりませんか?・・・・」 2人ともビショビショで、ところどころ水で巫女服が透けて肌が見えている。 京子「はい、お部屋は暖めてありますから体を温めてくださいね」 音葉「ありがとう〜」 滝から母屋までは廊下も無く外を歩くしかなくて風など吹いたらかなり寒い。それほど 遠い距離ではないが、冬の季節に水でぬれている2人にとってはかなり遠く感じる。 京子「ご飯はあともうちょっと待っていてください。いまお米たいていますから。」 琴璃「ありがとうございます。」 ガラララ・・・・・ 部屋へのふすまを開けて中に入る。今まで冷たい思いをしていた2人にとってそこは天 国だった。 音葉「はぁぁぁぁ・・・・やっぱり暖かいほうがいい・・・・」 琴璃「ほら!お姉ちゃん着替えて・・・・下着のままでいたら風引きますよ〜」 水分をたっぷり含んだ巫女服は脱ぎすててヒーターの前で暖を取る。しかし、この部屋 純和風とはいえ襖の下のほうはガラスで覆ってあて結構なかの様子が丸見えである。し かも、今のような壁で部屋が仕切ってあるのではなく、日本の家独特の壁と戸が一緒に なったような広い立て方をしているので、どこの位置でもどこ部屋も見わたせるように なっているのだ。 だから着替えるときもちょっと人も目線が気になったりもするのだ。 音葉「大丈夫だよ。まだ開く時間じゃないし。」 今は5時30分。たまに神社におまいりする人はいても神社の奥にある住居スペースに 入る事はまず無かった。 琴璃「でも・・・・・はしたないです・・・」 音葉「温まったから服を着るよ。」 かじかんでいた手足の先がようやく温まってきて自由に動くようになってきた。 京子「ご飯できましたよ〜」 ちょっと遠くで京子が呼んでいる。いわゆるいつもの光景である。 音葉「いただきます。」 琴璃「いただきます。」 今日のご飯は、お味噌汁、焼き魚(アジのひらき)納豆、玉子焼き、お漬物だった。今 日は和風物が出てきているが、京子は和風、中華、洋風などあらゆる料理が作る事が できるのだ。おやつには手作りのケーキを出してきたり、ビーフストロガノフなどを作 って二人を驚かしてきたりしていたのだ。しかも、レシピ本など一回も買った事も無い というのも驚きである。どこで知識を仕入れてきているのだろうか? しかし、そのおかげで両親のいない彼女らも暖かい手作りのご飯を食べられるのも事実 である。 音葉&琴璃「ごちそうさまでした」 2人は同時に食べ終わる。というか双子のせいもあって、同じ物を同じスピードで同じ 両だけ食べるのだ。始めてみる人には鏡に移っているようにしか思えないほどだ。 京子「おそまつさまでした。」 夏樹「じゃあ、もっていくね。」 夏樹が食卓に出てきた食器を片付けはじめる。神様が家事を手伝うのは少々抵抗あるが 夏樹が手伝いたいといってきてからずっとそうしてきたのだ。はじめは音葉も琴璃も神 様を使役するとかなんとかで、止めていたが、夏樹がそういう特別扱いされるのが嫌い な事を話すと彼女たちも引き止めなくなったのだ、そして今では洗濯物の取り込み、近 所のお買い物にも手伝うようになったのだ。もちろん買い物のときは京子が付いている。 時間は7時50分・・・・・ もうそろそろ学校に行く時間だ。8時40分に間に合えばいいのでこの時間帯に出ると丁度10分ぐらいあまる計算になるのだ。 音葉「じゃあ、いってきます〜」 琴璃「いってきますね〜」 京子「はい、いってらっしゃい。」 夏樹「バイバイ。」 2人に見送られて音葉と琴璃は自転車で学校に向かった。 ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・